米メタ、ファクトチェックを廃止 CEOは「有害なコンテンツが増える」と認識
ニューヨーク(CNN) 米メタは、投稿や動画などのコンテンツの管理方法を大幅に刷新する一環として、フェイスブックとインスタグラムのコンテンツ審査ポリシーを変更する。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が7日、明らかにした。第三者が投稿内容の事実関係を確認する「ファクトチェック」を廃止し、ユーザーによって生成される「コミュニティーノート」に置き換えるという。イーロン・マスク氏が所有するX(旧ツイッター)に似た仕組みだ。 【映像】メタ、「ファクトチェック」廃止を発表 この変更は、トランプ次期大統領の就任直前に行われる。トランプ氏や他の共和党員は右派の声に対する検閲を行っているとしてザッカーバーグ氏とメタを強く非難している。 ザッカーバーグ氏は7日、新しいポリシーを発表した動画で「ファクトチェッカーは政治的に偏りすぎていて、信頼を築くよりも破壊してきた」と述べた。「包摂性を高めるために始めた取り組みが、意見を封じ込め、ますます異なる考えを持つ人々を締め出すために利用されるようになった。行き過ぎている」 一方でザッカーバーグ氏は、新しいポリシーには「トレードオフ(二律背反)」があることを認め、コンテンツモデレーションの変更の結果、プラットフォーム上にはさらに有害なコンテンツが表示されるようになるとも指摘した。 この発表の前日、メタは新たな取締役にトランプ氏の盟友で総合格闘技団体「UFC」のデイナ・ホワイトCEOを起用すると明らかにした。また、トランプ氏の就任に向けた資金として100万ドル(約1.5億円)を寄付するとし、ザッカーバーグ氏はテクノロジー政策の議論で「積極的な役割」を担いたいと考えていると述べた。 トランプ氏は7日、私邸「マール・ア・ラーゴ」での記者会見で、ジョエル・カプラン氏がFOXニュースの番組に出演し、今回の変更について言及したのを見てメタは「大きく進歩した」と述べた。共和党系のカプラン氏は先週、メタの渉外担当社長に昇進した人物だ。 トランプ氏は「彼らの記者会見を見たが、とても良い記者会見だと思った。正直に言って、彼らは大きく進歩したと思う。メタもフェイスブックも」と称賛した。 メタは2016年、外国の工作員が同社のプラットフォームを利用して偽情報を広め、米国人の間に不和を植え付けるのを阻止できなかったという主張を受け、独立したファクトチェックプログラムを立ち上げた。同社はそれ以降、選挙に関する誤情報、反ワクチンの主張、暴力、ヘイトスピーチなど、プラットフォーム上で物議を醸すコンテンツの拡散に対処してきた。 しかし今、ザッカーバーグ氏は、22年にツイッター(現X)を買収し、同社のファクトチェックチームを解体したマスク氏の足跡をたどっている。Xは利用者が投稿に関する指摘を書き込める「コミュニティーノート」を虚偽の主張を訂正する唯一の方法としている。 メタはまた、移民や性自認など特定のトピックに関するコンテンツ制限を廃止し、ユーザーがフィードで見る政治関連コンテンツの量の制限を撤廃する。