【番記者の視点】10人で奮闘も惜敗の神戸、日本代表GK前川の一発退場より悔やむべきは…
◆明治安田J1リーグ▽第7節 横浜FM 2―1 神戸(7日・ノエビアスタジアム神戸) 【神戸担当・種村 亮】神戸はホームで横浜FMに1―2で敗れ、今季2敗目。同カードは2012年から12戦未勝利(3分け9敗)となり、今年もジンクスを破ることはできなかった。 敗因は、自陣ゴール前で絶好機をファウルで止めてしまった日本代表GK前川黛也の一発退場にあったのか。個人的にはそうは思わない。結果的にはレッドカードと判定されてもおかしくない場面ではあったが、これまで前川は積極果敢な飛び出しで何度もチームを救ってきた。横浜FMのFWヤンマテウスの絶妙なファーストタッチに上回れた、と言っていい。 悔やむべきポイントは他にあった。元日本代表DF酒井高徳が「もったいなかった」と振り返ったのは、前川の退場から8分後に起きた2失点目だ。 後半38分。右サイドで横浜FMのMF南泰熈(ナム・テヒ)がボールを受けると、外側を味方がオーバーラップした。南泰熈にはFWジェアンパトリッキが対応していたが、内寄りにいた元同代表MF山口蛍はオーバーラップした相手選手のマークにパトリッキをスライドさせようと近づき、そこでヤンマテウスがフリーに。DFトゥーレルの寄せは間に合わず、ペナルティーエリアわずか外から左足を振り抜かれた。 フィールドプレーヤーが1人少なくなっていた神戸。数的不利が失点に影響したとの見方もできるが、試合後の酒井は「映像を見直したけど、数的不利でやられたという失点ではなかった。メンタル的なところで、1人少ないからどうしても(対応に)出ていくのをためらってしまうシーンだった」と指摘。「でも、ペナルティーエリアでは人数関係なくシュート打たせないとか、クロスを上げさせないとかは昨季もやっていたこと。ちょっと厳しい言い方をすると、あそこはしっかり寄せきりたかった」とした。 その一方で、酒井は「少ない人数でもゴールを狙っていく姿勢は出せた。10人になってからのリアクションは悪くなかったのかなと思う」とも言及した。言葉通り、1点を追う展開での迫力あふれる波状攻撃は数的不利を感じさせなかった。…だけに、やはりもったいない。「負けに等しかったか、といえばそうではなかった」と胸を張れる内容だったからこそ、要所でのワンプレーにまでこだわりたい。昨年はそうして、勝ち点を積み上げていったのだから。
報知新聞社