出品された商品を食べ比べる審査員たち

　「西日本一の栗の産地」をPRする熊本県山鹿市が、旬を迎えた栗の知名度アップに力を入れている。11月に市内である全国モンブラン大会に向け、連覇を目指す代表スイーツが決定。市内各地で様々な形で栗を味わえるイベントも開催中で、全国一の産地・茨城県に追いつけと、甘くはない挑戦を続けている。 【写真】金灯籠を頭に載せ、優雅に踊る女性たち（熊本県山鹿市で）

　県内産の2022年の栗の出荷量は2050トンで茨城県の3370トンに次ぐ全国2位。県内生産量2362トンのうち山鹿市は、県内トップの820トンを占める。市は「やまが和栗」としてブランド化を目指しており、特許庁が認定する「地域団体商標」に申請している。

　モンブラン日本一を決める全国大会は昨年、茨城県笠間市で初めて開催され、山鹿市の商品が開催地を抑えて優勝した。今月22日には、今年の山鹿代表を決める予選会が山鹿市の菊鹿市民センターであり、市内の山鹿和栗洋菓子店「An（杏）」が選ばれた。

　予選には市内4店舗から応募があり、会場にはシフォンやチーズケーキを土台に、マロンクリームのほか、栗ペースト入りのカスタードやバタークリーム、塩キャラメルなどを加えた商品が並んだ。市内の料理人や県立大の学生ら審査員6人が見た目や味、こだわりなどを踏まえて食べ比べた。

　県立大は市と協力し、山鹿産の和栗をPRしている。審査員を務めた3年の梅田結衣さん（21）と黒田真琴さん（21）は、「味だけでなく、インスタ映えするものを選んだ」と話した。

　山鹿代表の商品は、11月16日の全国大会でお披露目される。経営者の植田隆司さん（51）は「山鹿産を全国に知ってもらえるよう、全国大会に向けてよりおいしくしたい」と語った。

　市内では10月14日まで、西日本一の栗まつりウィークと題して、道の駅や物産館などで栗を使った菓子や食事が楽しめる。このほか市内の飲食店7店舗が参加した「鹿北いも・くり自慢街道」（10月21日まで）、38店舗が自慢の菓子を販売するスイーツフェア（11月30日まで）も開催中だ。

　官民でつくるやまが和栗振興協議会の会長で、JA鹿本の西岡裕治組合長は「やまが和栗は風味が良く、収益も上がっている。日本一を目指して知名度を高めていきたい」と話した。