一向になくならない高速道路の逆走事故 どうしたら防げる?
2023年の逆走事案発生件数は224件
高速道路での逆走が、連日のように報道されている。その多くは高齢ドライバーによるもので、報道を見る限り「高齢者だけが起こしてしまう事件」のように感じられるが、実態はどうなのか。 【写真】高速道路における逆走事案と、国交省やNEXCO各社が行っている逆走防止対策に関連する画像を見る(9枚) NEXCOの統計によると、昨年(2023年)の逆走発生件数は224件で、うち約7割が65歳以上の高齢者。75歳以上が46%となっている。高齢者が中心であることは確かだが、決して全員ではない。認知症の割合も全体の1割以下で、思ったほど多くはない。逆に20代以下も約1割を占めている。 「認知症でもなく、しかも20代のドライバーがなぜ逆走を!?」と疑問に思うところだが、多くの場合、目的の出口を通り過ぎたり、料金所先の分岐で目的地とは逆方向に進んでしまったりしたことでパニック状態になり、頭が真っ白になって逆走するようだ。 2023年の発生件数224件という数字は、2015年の257件と比べると減っている。高齢者は年々増えているのに、逆走件数が減っているのは、国交省やNEXCO各社が逆走防止対策を強化してきた効果もありそうだ。 具体的には、 ・路面等に矢印を描く。 ・本線合流部分からの右折逆走対策として、合流部手前側にラバーポールを設置する。 ・反対方向に進もうとしているドライバーに「こちらへは進めません」と知らせる標識等を設置する。 そのほか、逆走で乗り越えるとドンとショックがくる「ウェッジハンプ」という防止装置も設置されているが、全国で9カ所にとどまっている。ショックがくるくらいでは、頭が真っ白になったドライバーを止めることは難しそうだ。 アメリカには、道路を横断するかたちで埋め込んだ金属部分から斜めに針が突き出ていて、逆走するとそれがタイヤに刺さるという装置があるが、主に防犯対策。そんな物騒なものを、日本の高速道路に設置することは考えられない。
逆走事案の約2割が事故につながっている
高速道路の逆走は、インター等でUターンしたうえで本線を逆走するケースが全体の約半分で一番多い。これらは標識などの設置である程度対策が可能だが、約4分の1は本線上でUターンしてしまっており、これに関しては対策が困難だ。 故意の逆走も224件中53件となっている。わかっていて逆走するドライバーも結構いるのだから、逆走防止対策には限界がある。 ただ、年間約200件という発生件数は、全体の通行台数から見ると超レアケース。逆走事案の約2割が事故につながっているので、怖いといえば怖いが、逆走車に出会う確率は宝くじの1等賞レベルに低い。最近はドラレコの設置が一般的になったため、ニュースとして取り上げやすく、逆走が頻繁に起きているように感じる部分もあるだろう。