25歳で事故死した天才画家「中園孔二」の風変わりな生活とは? “暴力と恐怖とポップ”を描いた生涯を辿る【新年おすすめ本BEST5】(レビュー)
芦原伸『草軽電鉄物語 高原の記憶から』は、鉄道好きの紀行作家が一九六二年に廃線になった跡を歩く。 廃線跡はいまや雑草におおわれガイドなしには歩けない。また熊が出るので鈴やスプレーは必需品。 鉄道の話だけではなく沿線の町の歴史にも触れている。視野が広い。 映画界は七〇年代に斜陽化し、スタジオシステムがゆらいできた。そんな苦難な時代の映画界を縁の下で支えた映画人がいた。
谷川建司編『映画人が語る 日本映画史の舞台裏 構造変革編』は大学の映画研究者らが、プロデューサーや宣伝マン、映写技師などの裏方的映画人にインタビューした労作。 ピンク映画とロマンポルノに一章を設け、女性の監督、浜野佐知、女優白川和子が語るのが読みどころ。 [レビュアー]川本三郎(評論家) 1944年、東京生まれ。文学、映画、東京、旅を中心とした評論やエッセイなど幅広い執筆活動で知られる。著書に『大正幻影』(サントリー学芸賞)、『荷風と東京』(読売文学賞)、『林芙美子の昭和』(毎日出版文化賞・桑原武夫学芸賞)、『白秋望景』(伊藤整文学賞)、『小説を、映画を、鉄道が走る』(交通図書賞)、『マイ・バック・ページ』『いまも、君を想う』『今ひとたびの戦後日本映画』など多数。訳書にカポーティ『夜の樹』『叶えられた祈り』などがある。最新作は『物語の向こうに時代が見える』。 協力:新潮社 新潮社 週刊新潮 Book Bang編集部 新潮社
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