あの艶やかな「春画」を再び! 幻の北斎や歌麿の春画を、京都〈細見美術館〉で堪能しよう。
大きな注目を集めた、あの「春画」展から8年。京都の〈細見美術館〉に再び春画が帰ってきます。日本の美術館では初公開となる葛飾北斎の幻の名品や、喜多川歌麿の1メートルもある大作、一点物となる「肉筆春画」など約70件の作品が揃います。 【フォトギャラリーを見る】 長い間、日本ではまとまって展示される機会が少なかった春画。江戸時代には「笑い絵」とも呼ばれ、大名から庶民まで男女を問わず愛好された。縁起物として嫁入り道具ともなり、母から娘や嫁に受け継がれることもあった。18世紀後半に人気を博した月岡雪鼎(つきおかせってい)の春画は「火伏せ(火除け、火災を防ぐこと)のお守りになる」とされたこともある。
こうして江戸の人々が楽しんでいた春画がタブーとされるようになったのは明治時代のこと。西洋の倫理観に影響されて隠すべきもの、恥ずべきものと見なされるようになってしまった。
その春画が“復活”したのは2013~14年にロンドンの大英博物館で開かれた『春画 日本美術の性とたのしみ(Shunga sex and pleasure in Japanese art)』展がきっかけだった。海外で高く評価されたこの展覧会に続いて、日本では初めてとなる本格的な「春画」展が2015~16年に東京の〈永青文庫〉と京都の〈細見美術館〉で開催される。会場には男性だけでなく多くの女性も詰めかけ、春画に対する印象は大きく変わった。
8年ぶりとなる今回の『美しい春画―北斎・歌麿、交歓の競艶―』では版画・版本だけでなく1点ものの「肉筆春画」にフォーカスをあてる。なかでも葛飾北斎の《肉筆浪千鳥》は日本の美術館では初公開となる“幻の名作”だ。この《肉筆浪千鳥》のほかに《浪千鳥》《富久寿楚宇(ふくじゅそう)》、あわせて3点の北斎春画が競演する。
春画というとこっそり楽しむもの、というイメージがあるが、それを覆してくれるのが喜多川歌麿の《夏夜のたのしみ》だ。横幅が1メートルもある艶めかしいこの春画を人々はどんなふうに楽しんだのだろう。そんなことを想像するのも面白い。