「忖度やひいき一切ない」は本当? 不可解な判定に選手困惑 国民スポーツ大会の剣道、優勝はほとんどが開催地の”謎” 「負ける時は…」疑問視する監督も
国民スポーツの剣道は「開催県に勝つのは難しい」
「開催県に勝つのは難しい」。国民スポーツ大会(国スポ)の剣道では、関係者からこんな言葉が聞かれる。 【表】国スポ剣道、2000年以降の開催地の順位。調べたら驚きの結果が…
昨年まで3大会連続で開催県が全4種別を制覇
成年と少年の男女計4種別で団体戦を行う剣道。昨年まで3大会連続(コロナ禍で中止になった大会を除く)で開催県が全4種別を制した。佐賀県神埼市で開催した今年は、佐賀が2種別で優勝、残り2種別は3位。2000年以降、開催府県は必ず2種別以上で優勝し、4種別制覇は8度もある。優勝を逃してもほとんど上位に食い込んでいる。
「強化の成果」「応援の力」
全日本剣道連盟の網代忠宏会長は、開催県が取り組む強化の成果だと強調する。どこも5年ほど前から強化が始まり、県外遠征などを通じて鍛錬を積む。「他県の選手を上回る気力が養成される。剣道は精神力が大事。さらに応援の力も大きい」と説明する。
「忖度やひいき、一切ない」
ただ、開催県が選手強化に力を入れるのはどの競技も同じ。網代会長は「(審判員が)開催県に忖度(そんたく)しているとか、ひいき目にしているとか誤解を受けるが、そんなことは一切ない」と言った。
1本と思ったら…「えっ」
今年の国スポ剣道会場。成年の試合は淡々と進んだが、少年の選手の反応は素直だった。佐賀と対戦したチームは、1本と思われる判定に旗が挙がらず、試合場脇で控える仲間の選手たちは「えっ」という表情を何度か浮かべた。
負ける時の相手はほぼ開催県
その試合で敗れた強豪県の監督は、不可解な判定を指摘し「スタッフ、監督として国体に関わって10年ぐらいになるが、負ける時の相手はほぼ開催県。強制的に納得しながら年齢を重ねているが、子供たちの教育という面ではどうなのか」と首をかしげた。
「番狂わせが起きる」
年代別の5人制で争う成年男子。全日本選手権の覇者2人を擁し、佐賀に敗れたチームの総監督は「剣道は空間勝負なので番狂わせが起きる」と話した。
成年男子、2000年以降はほぼ開催府県が優勝
この言葉を開催県に当てはめれば、実力があっても結果につながらないことがあり、ましてや実力のないチームがトーナメント戦を勝ち上がるのは至難。他の3種別が出場16チームに対し、成年男子は47都道府県が出場する激戦だが、2000年以降、開催府県が優勝を逃したのは4回しかない。