香港上海銀行が主幹事に三菱モルガン起用、5年ぶりサムライ債
(ブルームバーグ): HSBCホールディングス傘下の香港上海銀行がサムライ債の発行に向け、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を主幹事として起用した。行政処分勧告を受け同証を起債の主幹事から外す動きが相次ぐ中、新規の起用が判明したのは今回が初めて。
主幹事は三菱モルガンのほか、大和証券、HSBC証券、みずほ証券、野村証券、SMBC日興証券が務める。ブルームバーグのデータによると同銀のサムライ債は5年ぶり。現在3年と5年の2年限を検討しており、金額を含む発行条件を20日に決める予定だ。
国内機関投資家は取引方針として、法令違反と認定された証券会社との取引を業務改善報告書が金融庁に受理されるまで控える傾向がある。証券取引等監視委員会は14日、三菱モルガンなどに対する処分勧告を実施。同証はNECやイオン、日本政策投資銀行などの起債で主幹事から外れたほか、今週に入って公表された10以上の新規案件でも主幹事には入っていない。
ニッセイ基礎研究所の福本勇樹金融調査室長は、発行体側が「コンプライアンス上問題がなく、ステークホルダーに説明できると判断したのなら、三菱モルガンを通じて発行するという決定が行われても不自然ではない」と話す。その上で、「行政処分の結果次第では主幹事から外れることもあり得る」との見方を示した。
HSBCに取材を試みたが、広報担当者は起債運営中のため回答は控えるとした。三菱モルガンの広報担当者は個別の事案についてはコメントしないとしている。
円金利の先高観から海外勢の円建て債発行が相次いでおり、5月の発行額は同月として5年ぶりの高水準となった。一方、日本銀行が14日の金融政策決定会合で国債買い入れ減額を実質先送りしたことで国債利回りが低下、投資家にとっては当面は金利が急激に上がることはないとの安心感から投資しやすい環境と言える。
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Takahiko Hyuga