京都の古刹で、いにしえ人が酔いしれた極上の「紅葉体験」を!建仁寺、東福寺、世界遺産の平等院…【写真付き】
● 紅葉のトンネル「今熊野観音寺」と窓越しの「雲龍院」 ここからは、京阪電車で南へ下りていきましょう。まずは「祇園四条」駅から三つ目の「東福寺」駅へ。東福寺の最寄り駅ですが、駅東側の坂を上がっていくと、20分弱で天皇家の墓所があり「御寺(みてら)」と呼ばれる泉涌寺にたどり着きます。その参道の途中、案内板に従って道をそれた先には、西国三十三所巡礼第十五番札所の今熊野観音寺があります。 今熊野観音寺は、平安初期に弘法大師空海がこの地に建てた庵が起源の古刹(こさつ)で、空海自ら彫り上げたと伝わる十一面観音像がご本尊(秘仏)です。参道途中の紅葉のトンネル、本堂周辺の色づいた紅葉が見物となります。例年、人であふれかえることもなく、比較的ゆったりと紅葉観賞ができるのでおすすめです。 頭痛持ちで長年苦しんだ後白河法皇が今熊野観音寺の観音様に祈ったところ、頭痛が癒えたという逸話から、頭痛封じのご利益で親しまれるようになりました。頭痛や物忘れで困っている方は、頭痛封じやぼけ封じ、健康長寿の祈祷(きとう)が込められた「枕カバー」を授かるといいでしょう。 再び泉涌寺の参道へ戻り、泉涌寺の山門はくぐらずにさらに奥へ進むと、泉涌寺の別院である雲龍院です。丸い「悟りの窓」、四角い「迷いの窓」、正方形の窓が四つ連なる「しきしの窓」を通して、端正な杉苔の庭に寄り添う紅葉を眺めるという、風流なひとときをこちらではじっくりと楽しむことができます。
● 『源氏物語』最終章「宇治」で紅葉に包まれる 終幕に向けてのカウントダウンに入り、盛り上がりをみせるNHK大河ドラマ「光る君へ」。最近の放送回では、紫式部がつづる『源氏物語』が宮中で評判になっていく様子が描かれています。『源氏物語』全54帖の最終章「宇治十帖」にも触れるのか? 道長との秘めたる恋はどんな結末を迎えるのか?……気になるところです。 すべて徒歩で巡ることができるそのコンパクト感が魅力の宇治は、紅葉の名所でもあります。京阪宇治線の終点「宇治」駅を出てすぐ目の前、宇治川に架かる宇治橋中央の展望所にまずは行ってみましょう。「宇治十帖」では、主人公光源氏の亡き後、(表向きは)息子である薫、孫の匂宮、そして宇治に暮らす大君、中の君、浮舟という3人の姫君との切ない恋物語が描かれています。 中でも浮舟が、真面目だけれど恋には不器用な薫と、少々チャラいけれども情熱的な匂宮という2人の貴公子からの求愛に揺れ動き、思い悩んだ末に身を投げてしまう(命は助かります)のがこの宇治川。千年の時を超えた今も絶えることなく流れる川を見渡すと、川幅があって流れも速く、思わず身がすくむほどです。 最初の紅葉スポットは、宇治橋の東詰から小高い丘を上がって8分ほどの宇治市源氏物語ミュージアムです。知る人ぞ知る隠れ名所的な存在でしたが、今年は注目を浴びるかも!? 公園に隣接した外観は24時間見られますので、9時の開館前に訪れると静かな紅葉をめでられそうです。 平安時代の恋に欠かせない「垣間見」や香りの世界を体感できるブース、企画展「光る君の面影をもとめて」(12月15日まで開催中)など平安の雅に触れた後は、館内のカフェ「雲上茶寮(うんじょうさりょう)」へ。この店名には、宮中や俗世から離れた雲の上のように静かな場所で、伝統の宇治茶を味わってほしいという願いが込められています。看板メニューは、和・洋スイーツの具材で砂紋や苔、築山など庭園を表現した「庭園パフェ」です。フォトジェニックな見た目のみならず、味の良さも評判。宇治の和菓子店が作る日替わりの和菓子と宇治茶のセットも人気ですよ。