京都の古刹で、いにしえ人が酔いしれた極上の「紅葉体験」を!建仁寺、東福寺、世界遺産の平等院…【写真付き】
● 四拍子そろった紅葉の名所「建仁寺」 前回の紅葉記事では都の西北の三尾や嵐山、永観堂に触れました。今回は京都の市街地に下りてまいりましょう。「古都の情緒が感じられる」「アクセス良好」「周辺に食事どころやカフェが充実」「お買いものも楽しめる」――。こうした京都旅で行き先を定めるキーポイントすべて満たす紅葉どころが建仁寺(東山区)です。 京阪本線「祇園四条」駅から徒歩7分。建仁寺は、鎌倉時代に臨済宗と喫茶の文化(そしてチャの種子も)を中国(当時は宋)から日本にもたらした栄西(ようさい)が開いた京都最古の禅寺です。そうした故事にちなみ、10月31日は日本茶の日、11月1日はお茶の日にそれぞれ指定されているそうです。 花街祇園のメインストリート「花見小路」の南端に立つ北門をくぐると、喧騒(けんそう)が瞬時に遠のき、凛として清澄な空気に包まれる。建仁寺はそんな街なかのオアシス的な存在です。琳派の祖である俵屋宗達「風神雷神図屏風」、安土桃山時代の画家である海北友松「雲龍図」の高精細複製画(いずれもオリジナルは保存のため京都国立博物館に寄託)、あるいは畳108畳に及ぶ法堂天井の双龍図(小泉淳作筆)、方丈南側の枯山水庭園「大雄苑」、禅の教えを表す「○△□乃庭」など多くの見どころがあります。 紅葉は小書院と大書院、回廊に四方を囲まれた潮音庭(ちょうおんてい)へ。苔(こけ)の緑と紅葉の赤が織りなす美景が訪れる人を迎えてくれます。畳に座して眺めたり、回廊を歩きながら眺めたりと、さまざまな角度から堪能してください。
● 建仁寺塔頭と円山公園で紅葉の一服 建仁寺で紅葉に浸った後は、その塔頭(たっちゅう)寺院にも立ち寄ってみましょう。まずは、北門東側の西来院(せいらいいん)。開山の蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)は建仁寺11代目住職で、今年750年遠忌にあたります。この春から、1000株ものランの花、庭園、天井の白龍図など、多彩な見どころが一般公開されています。境内には、サンフランシスコ発ブルーボトルコーヒーの白いトラックが停車していて、宇治茶の老舗辻利とコラボした限定抹茶ラテを販売中。ドリンクを片手に、苔×白砂のモダンな枯山水庭園と紅葉をめでることできます。 建仁寺境内の北側、団栗通(どんぐりどおり)を挟んだ向かいには、塔頭寺院の正伝永源院がたたずみます。織田信長の弟で茶人の織田有楽斎ゆかりの正伝院と、熊本藩主細川家の菩提寺永源庵が融合し、一つの寺院となりました。通常は非公開ですが、11月6日から12月5日の間に「秋の庭園特別公開」が行われます。狩野山楽筆のふすま絵「蓮鷲図」、有楽斎が建てた国宝の茶室「如庵」(復元)が見どころで、江戸初期築の趣ある方丈からは、松の緑と紅葉のコントラストが楽しめます。 正伝永源院から東へ十数分歩くと円山公園に着きます。「祇園しだれ桜」がシンボルとなる桜の名所として有名ですが、実は紅葉の穴場スポットでもあります。池に移る紅葉を眺め、橋を渡った東側一帯をそぞろ歩いてみましょう。ちょっと一服したいときは、池の畔にある「eXcafe祇園八坂」で、円山公園の紅葉を眺めながらカフェタイムはいかがですか。小さな七輪であぶり、好みの香ばしさに仕立ててからいただくお団子と抹茶のセットが人気です。