【スプリンターズS回顧】前半3F32.1、レース史上最速の激流戦 タフな精神力みせたルガルの復活劇
またも“負けて強し”で終わったナムラクレア
2着はトウシンマカオ。枠順を最大利用し、今開催の馬場を読み切ったイン突きは一瞬、とらえたかと思わせる勢いだった。中山ではオーシャンS勝ちがあり、得意な舞台ではあるが、時計面が少しだけしんどかったか。京都の京阪杯で1:07.4もあるが、中山だと7秒台半ばぐらいがよさそうだ。それでもクビ差まできたわけで、昨秋から続く充実期にかげりはない。 3着ナムラクレアはイン、先行優位の馬場で後方から外を回るという理想とは真逆の競馬になった。またしても“負けて強し”という競馬。もうそんな評価はいらないから、勝利がほしかった。キーンランドCをそれなりの仕上げで通過し、型通り上昇していただけに悔いが残る。3歳時と比べると、徐々に位置取りが後ろになっていき、その分、勝利から遠ざかっているようだ。 1番人気サトノレーヴは7着に敗れた。痛恨はスタートで一瞬、もたついたところ。位置をとれず、内にも入れず、外にはダノンスコーピオンがいるという厳しい形になってしまった。最後も伸びを欠いており、今回はGⅠの壁に阻まれたようだ。好位で立ち回る器用さを武器にここまで勝ち上がってきただけに、大一番で形を崩してしまっては仕方ない。また出直しだ。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木 淳