ツアーファイナルで錦織に勝機はあるか?
錦織への期待が高まるデータとしてインドアでの成績も挙げたい。風や気温などの影響を受けないインドアの試合では、ビッグサーバーが有利と言われると同時に、スライスやドロップなどのいわゆる“タッチ”が命のショットやネットプレーを得意とするプレーヤーにも好条件と考えられる。 特に後者に代表されるフェデラーの今季インドアでの成績は12勝1敗。だが、錦織は13勝1敗でわずかながらこれを上回る。今年10試合以上インドアでプレーしている中で錦織よりも勝率がいいのは、16勝1敗のチリッチだけだ。錦織はチリッチのようなビッグサーバーではないが、多彩なテクニックが持ち味で、微妙な緩急や角度、高低などをつけてラリーを主導する上で室内のハードコートは有利な舞台といえるだろう。 実は、ツアーファイナルズ6回の優勝を誇るフェデラーも、ジョコビッチもマレーもナダルも、初出場の年は決勝までは進めていない。ただ、彼らは20歳、21歳と若かった。来月には25歳という「いい年齢」を迎える錦織は、初出場のジンクスを打ち破れるか。ぜひとも破ってほしい。 (文責・山口奈緒美/テニスライター)