ツアーファイナルで錦織に勝機はあるか?
このように偏りがないよう配慮されたグループ割だが、より混戦が予想されるのはBグループだ。Aグループはジョコビッチが他の3人の誰に対しても10勝以上の差をつけて勝ち越しており、他のカードも比較的勝敗予想がしやすいが、Bグループは同じグループ内に勝ち越している相手が2人以上いるというダントツの選手がいない。フェデラー対錦織の2-2、フェデラー対マレーの11-11など予想困難なカードが多く、勝敗数で2、3人が並ぶケースも十分考えられる。 そうなると大事になるのがセットカウントだ。錦織の今季の最終セットでの勝率は9割を超え、最近は特にフルセットの勝負が多く勝負強い印象だが、ラウンドロビンでは極力セットを落としたくない。錦織は「緊張すると思うけれど、これがツアーファイナルズということはあまり考えないでプレーしたい」と話していたが、初戦の1セット目からトップギアでいけるかどうか。ここが、普段のトーナメントと違うところだ。 ラウンドロビン1勝の重みは賞金額にも表れている。出場料15万5000ドル(約1800万円)に、1勝ごとに同じく15万5000ドル(約1800万円)が加算。ついでに触れておくと、全勝優勝すれば賞金額は合計207万5000ドル(約2億4000万円)になる。このクラスの選手になると、お金のことなど考えてプレーしていないらしいが、私たちは1試合の価値を噛みしめながらワンプレー、ワンプレーを堪能しよう…。 そんな中でも錦織の1位通過は決して夢ではない。Aグループからジョコビッチが1位で出てくる可能性の高さを考えれば、1位で通過したい。だが、ジョコビッチに対しても2勝2敗の五分だから悲観することではないのだ。対マレーも同じで、0勝3敗といっても今年は一度も対戦していない。成績もプレー内容も示しているように今年の錦織は昨年までとはまるで違う。完全アウェーという不利はあるが、錦織の成長を見る上でもこのカードはむしろ楽しみだ。