勝俣恒久元東電会長が死去 84歳、原発事故に対応
2011年3月の東日本大震災時に東京電力(現東京電力ホールディングス)の会長を務めた勝俣恒久(かつまた・つねひさ)氏が10月21日、死去した。 84歳だった。東京都出身。葬儀は近親者で済ませた。お別れの会は行わない。 東大経済学部卒業後、1963年に東電入社。02年に社長に就任し、原発の検査データ改ざん問題で揺れていた東電の信頼回復に努めたほか、電力自由化への対応に当たった。08年の会長就任後も実質的なトップとして君臨。電気事業連合会会長や経団連副会長なども歴任した。 福島第1原発事故では、情報公開や政府との連携などの対応が世論の批判を浴び、経営責任を取る形で12年6月に退任した。 勝俣氏らは同月、適切な津波対策を取らなかったなどとして業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発され、検察が2度不起訴としたものの、検察審査会の議決により強制起訴された。ただ、津波の予見可能性は認められないとして、19年に東京地裁、23年には東京高裁がそれぞれ無罪判決を出した。 一方、東電旧経営陣に総額22兆円の損害賠償を求める株主代表訴訟では、津波対策を怠ったとして、東京地裁が22年に勝俣氏ら4人に13兆円余りの賠償を命じた。