コロナで「戦い方が変わった」ーーニューヨーク「カス」2人組の逆襲
ニューヨークが若手中心のコント番組に出ていた時期は、ひな壇ではキャラの強い芸人ばかりが目立っていた。普通の地味な見た目の彼らはなかなか前に出られなかった。 「厚切りジェイソン、日本エレキテル連合、ハチロク(8.6秒バズーカー)、平野ノラさんとかが売れていくところを『お見送り芸人』としてずっと見送ってる感じはありました。別に手を抜いてはなかったけど、ここで俺らが一番目立って売れるというのは想像できないな、って感じでした」(屋敷)
コロナで「戦い方が変わった」
その後、テレビ業界はコロナ禍に見舞われた。ひな壇に並ぶ芸人の数が激減して、バラエティ番組の現場は様変わりした。 「コロナの時代になってからは、大暴れしてるやつが目立つみたいな感じじゃなくて、ちゃんと話を振ってくれるようになりました。戦い方のルールが変わった感じがします」(屋敷) 「テレビの状況も変わりましたよね。前は自分たちが『M-1』で決勝行けても、すぐにMCの番組をやれるなんて思ってなかったですから。一緒に出ている人も前は先輩ばっかりでしたけど、同期ぐらいの芸人も増えました」(嶋佐)
ニューヨークの躍進を後押しする重要なツールがYouTubeである。自身のYouTubeチャンネル『ニューヨーク Official Channel』を開設して、2019年1月に最初の動画を公開した。 「当時はまだYouTubeをやっている芸人もあまりいなかったので、新しいことをやってる感がありました。お客さんには評価されてないけど芸人から『面白いね』って褒められる感覚が、お笑いを始めた頃みたいで楽しかったです」(屋敷) 「これだけは言っておきたいんですけど、芸人がYouTubeでいろいろな企画をやるっていうのは我々がパイオニアですからね。厳しい言い方をすれば、ほかは全部パクリ」(嶋佐) 「厳しい言い方じゃない、変な言い方や(笑)」(屋敷) 週1回のラジオ形式の生配信トークを軸にして、さまざまな企画に挑戦していった。親しい芸人を招いて話を聞いたりしたこともあった。YouTubeの企画を通して、彼らのキャラクターや芸人同士の横のつながりを見せられたことで、それがテレビの仕事にも還元されていった。