英賃金はなお高い伸び、価格上昇圧力残る-英中銀エコノミスト
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)チーフエコノミストのヒュー・ピル氏は12日、英国の賃金は依然として急速に伸びており、安心できる状況ではないと述べ、来年の利下げは積極的というより「段階的」に行うべきだと主張した。スイスの銀行UBSがロンドンで主催した会議で述べた。
これより先、英国で同日発表された平均賃金(ボーナスを除く)は7-9月に前年同期比4.8%増加した。2022年半ば以来の緩やかなペースだが、エコノミスト予測の4.7%増を上回った。イングランド銀行が最重視している民間部門の定期給与は、4.8%増と変わらなかった。
エネルギー価格の高騰によるインフレショックの最中、14回連続で利上げを実施したイングランド銀行は、今年に入ってから2回しか利下げしておらず、金融緩和を急いでいない姿勢を見せている。トレーダーは今後12カ月の間に、0.25ポイントの利下げが2回行われると完全に織り込んでいる。イングランド銀行の懸念は、サービス産業と労働市場における価格上昇圧力が長引くことによる脅威に集中している。
ピル氏は賃金上昇が「依然としてかなり硬直的」で、「英国のインフレ目標と調和させるのが難しいほど高水準にある」と指摘した。「英国経済では大幅なディスインフレが起こっており、金融政策による制約を緩和できるところまできている。だが、これで問題が解決したわけではない。われわれの見解では、依然として基調的なインフレ圧力は残っている」と述べた。
原題:BOE’s Pill Warns Job Not Done as UK Wage Growth Stays Elevated(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Tom Rees, Philip Aldrick, Irina Anghel