気づけば筆者も思惑に?開発陣が届けたかったターゲットとは? 『オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ せーのでもふくるポン!』開発者インタビュー
2024年7月に開催された「BitSummit Drift」で、独特の可愛らしい雰囲気のあるブースと目を引くリアルなガチャが注目を集めていた『オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ せーのでもふくるポン!』。Game*Sparkでは、同作品の開発元でもあり、BitSummitの創設者かつ主催者でもあるQ-Gamesに所属するクリエイティブ・ディレクター 木村直博氏とのインタビューを過去にお届けしていました。 【画像全8枚】 編集部は、『オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ せーのでもふくるポン!』発売前の9月中旬に再びインタビューを実施。実際のゲームプレイにより深く切り込んで、同作の魅力について質問を投げかけました。 東京ゲームショウに合わせてサプライズ発売! ――改めて、『オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ せーのでもふくるポン!』についてご紹介ください。 木村 直博氏(以下、木村氏)本作は、4人で協力して攻略していくパズルアクションゲームです。オンラインでのプレイにも対応していて、PC(Steam/PC Game Pass)/PS5/ニンテンドースイッチ/Xbox Series X|S/Xbox Oneの各プラットフォームで配信中です。クロスプレイにも対応し、東京ゲームショウ2024のビジネスデー初日である9月26日にサプライズで世界同時リリースしました。 ――私(筆者)はSteam Deckでプレイしましたが、非常に動作が軽快でした。Steam DeckやハンドヘルドPCに向けて、特別な調整は施されていたのでしょうか? 木村氏特別な調整は特にやっておらず、単純にLinuxでLinuxネイティブのビルドを作成しています。なので、その部分が快適な動作に繋がっているのでしょう。Q-Gamesの別のゲームでもSteam Deckに向けた販売を行っていますが、そこで培ったLinuxのビルドを作る技術があり、本作でも活用しています。 ――本作のオンラインプレイはパーティーコードでのマッチング形式だと見受けられましたが、不特定のプレイヤーとのマッチングも可能なのでしょうか? 木村氏パーティーコードでも参加できますが、牧場内にあるベルを鳴らすことによって不特定多数のプレイヤーとのマッチングも可能になっています。また、各プラットフォームのフレンド招待にも対応してます。 ――「BitSummit Drift」でもプレイして、スマートフォンやタブレットなどの相性が良いゲームだと感じましたが、これから対応していく予定はあるのでしょうか? 木村氏現状は考えていません。プラットフォームが増えることでの管理の大変さもありますが、既に多数のプラットフォームに対応していますので、これから要望が多ければ対応……ということになるかと思います。 あの独特なボイスの正体は……? ――ゲーム内オプションを確認したところ、日本語ボイスも実装されていました。英語と日本語のこの独特なボイスは、どなたが担当されていらっしゃるのでしょうか? 木村氏ボイス自体は外注で作ってもらっています。4人のキャラクターそれぞれに、結構濃いめの性格を用意したいと思ってたんですよね。その上で「どうしてもキャラクター達に感情を込めたい」と考え、声優さんに依頼することにしました。 音声データを受け取ってみると……声優さんの演技力がすごく高くて、すごい「人間らしさ」を感じました。しかし「動物のキャラクター」と「人間」には違うかわいらしさがあるので、音声を加工してピッチを変更するなどして“感情はあるけれど、人間よりも動物らしい声”として魅力的になるよう調整しました。 ――なるほど、それで印象に残る独特なボイスとなった訳ですね。 木村氏それぞれキャラクター性も出したいんですけど、そのバランスもゲーム方向にチューニングさせていただいています。 ――牧場の飾りつけを集めるためのガチャが用意されていますが中身は現状どれほど用意されていらっしゃるのでしょうか? 木村氏ローンチのタイミングから、100種類以上の飾りつけを用意しています。家具の中にもいくつか機能が付いてるものもあったりして、例えばジュークボックスとか牧場内でBGMを切り替えられたりとか。 アンドリュー氏その他にもサッカーボールやラグビーボールなども置けて、蹴って遊べたりと、インタラクティブ要素も備えています。 木村氏また、ダウンロードコンテンツとしてキャラクターと家具の追加パックを配信しています。最初のキャラクター4人たちも、非常に個性があっていいキャラクターなんですが、狼・ペンギン・タヌキ・芝犬のキャラクター4体と、かき氷機・BBQコンロ・ちゃぶ台・望遠鏡の4種類の家具をセットにした、よりバラエティ豊富なパッケージです。また、本編とダウンロードコンテンツがセットになったバンドルパッケージも配信中です。 難易度調整は何度も何度も試行錯誤している。 ――「BitSummit Drift」でのインタビューで「ステージの設計が非常に難しい」と聞きましたが、7月の出展時から大きく変わった要素はありましたか? アンドリュー氏「BitSummit Drift」で出展したとき、来場者の方にプレイしていただいているのを見て「難しいステージが多い」と感じたので、イベントが終わった後に遊びやすく簡単なステージをいくつか追加しました。 ――どのようなステージが「難しい」と見られたのでしょうか? アンドリュー氏大きなキャラクターが登場するとあるステージで、みんなが協力して回転しなければいけないステージがあります。そのステージは動ける範囲が狭くて難しく、操作がまだ慣れていないプレイヤーは攻略に時間がかかってしまっていました。 ――そうなると、マッチングに際して「ステージのレベル」はどのように決定されるのでしょうか? アンドリュー氏難易度を設定できるところがあり、最初に初心者には簡単なステージが出て、ある程度プレイを重ねてからはほぼ完全にランダムでステージが選ばれます。 木村氏社内のテストも含め、難易度についてはすごい悩んでいたところでした。実は「BitSummit Drift」展示前にも難易度をちょっと落としています。 そうして「ユーザーがどんなところで悩んでるか会場で見てみよう」と考えながら展示してみて、自分たちが想定していたよりも「ユーザーが悩んでいる場面」が散見されました。そういった意味でも初心者をフォローするために、新しくて分かりやすく、移動しやすいようなステージなどを追加しています。 ――東京ゲームショウでも展示されるということですが、「BitSummit Drift」で印象に残ったことなどはありますか? 木村氏2ヶ月前……(笑)。前回話した内容と被ってしまいますが、「家族と一緒に遊んでいるところから協力プレイ体験を作る」という目標を立てていました。ターゲットのイメージとして「家族がワーキャー言いながら遊ぶ」というビジョンがあったのです。「BitSummit Drift」会場では、まさにそういった具合で“お父さんが助けたり、逆に娘がリードしていったりする”という場面を見られました。 アンドリュー氏社内のテストプレイでは「難しい」という声も出ていますけど、会場に出展してみんなが楽しくワイワイ遊んでくれる様子が見られたのは本当に良かったと思います。あと、スペシャルステージの『PONG』みたいなミニゲームのウケが良かったので、すごく嬉しかったですね。 糸井氏(Q-Games PR担当 以下、糸井氏)「gamescom」にも出展をしていて、Xboxのブースの中で展示していました。子連れで来場されていたファミリーの方々もすごい食いついて楽しんでいたり、子供がいるママさんがプレイして「うちの子にもやらせてみたい」とか、お子さんがいる家庭の親御さんが「“子供にプレイしてほしい”と感じるゲーム」といったような現地の声が、たくさん届いてきたんです。 木村氏そうですね。聞いた声の中でも、「親が子供に『プレイさせたいな』と思えるゲーム」という反応は本当に嬉しいですね。 ――筆者の母は70歳を超えているのですが、ゲームは遊べますし、本作を勧めて一緒にプレイしようと思っています。ある意味「渡りに船」というか、取材をするライターとしても嬉しく感じています。「BitSummit Drift」でも友人を8人くらい連れて行ったりして……今度はSteamのRemote Play Togetherで誘って遊ぼうと思っています。 木村氏それはめちゃくちゃ狙い通りで……私達としてもありがたいですね! 開発してたときにチームがリモートメンバーが主だったんで、毎週テストプレイをしていたんですけど、最初の最初の段階でまずSteamに対応して。Steamの「RemotePlayTogether」にも対応して、開発段階からRemotePlayTogetherを使ってマルチで遊んでいたという経緯もあります。 ――今後、新規層に向けた展開や、プレイヤーを取り込むイベントは予定されていますか? 糸井氏VTuber事務所のAttendMeさんとコラボした企画を実施しています。VTuberの方を10名起用し、なおかつその10名の方にそれぞれ自分たちの配信仲間を集めてもらって、4人プレイするという様子を各々に配信をしてもらって盛り上げる、というような企画ですね。総勢でいうと約40名くらいのVTuberが参加することになります。 ――最後にGame*Spark読者にメッセージをいただけますでしょうか。 木村氏ルールがシンプルで、誰でも遊びやすく入れるし、すぐに遊びの面白さに触れられるゲームだと思っていますので、ゲームに不慣れな方も得意な方も、一緒に誘って遊んでいただけたらと思っています。よろしくお願いします。もしステージに難しいのがあったら、アンドリューに伝えてください(笑)。 アンドリュー氏色々なステージを長く楽しむために、たくさんのアイディアやギミックを取り入れていますので、ぜひ全部遊んでくれたら嬉しいなと思います。よろしくお願いします。 糸井氏本作のサウンド制作のために結成した「ヘルパー・スケルターズ」というバンドによる、サウンドトラックがリリースされています。『ピクミン』の「愛のうた」で知られるストロベリーフラワーズの渡辺智江さんという方が手掛けてくれた全23曲を収録しています。 「オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ サウンドトラック」木村氏ちなみに今回のサントラの収録と編集をしているのは、うちの社長のディランです。ぜひ、よろしくお願いいたします。 ――本日はありがとうございました! ローカルかつオンラインでも、クロスプラットフォームでもプレイできる『オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ せーのでもふくるポン!』。PC(Steam/PC Game Pass)/PS5/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチに向けて現在配信中なので、興味が沸いたら是非チェックしてみてください。筆者もマルチに潜っているので、オンラインで出会ったら、是非「ヘルプ~!」と叫んでみてください。
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