【MotoGP】“本当の”レース勝利とは何なのか? スプリントレースの統計と扱いに一石を投じたビニャーレスの勝利
MotoGP第2戦ポルトガルGPではマーベリック・ビニャーレス(アプリリア)がスプリントレースで勝利。彼にとっては復活の兆しとなる嬉しい結果だっただろうが、一方でスプリントレースの扱いと勝利記録の問題も注目されることになった。 【動画】MotoGP2024 第2戦ポルトガルGPハイライト 2023年シーズンからMotoGPにはスプリントレースが導入され、レースウィークを盛り上げることが期待された。そして、通常の決勝レースの半分の距離で争われるスプリントは、導入時から統計上は“グランプリ勝利”とは別にカウントされるモノとされていた。 それがある種の頭痛の種となるだろうことは、明らかだった。 スプリントレースの記録がグランプリ勝利とは別にカウントされることから、ビニャーレスの勝利はあくまでもスプリントにおけるものとされる。つまり、ビニャーレスはMotoGPクラスが始まって以来初めての異なる3メーカー(スズキ、ヤマハ、アプリリア)における勝利という記録を達成したことにはならない。なお現在3メーカーでの勝利記録を達成する可能性があるのは、ビニャーレスとアレックス・リンス(現ヤマハ)、そしてジャック・ミラー(現KTM)の3人で、今後も同じような状況が起きる可能性はある。 スプリントレースを巡る状況は、チャンピオンシップ関係者ですら、このイベントを“レース”と呼ぶことを躊躇していることが、さらに複雑なモノにしていると言える。 そして多くのジャーナリストによると、スプリントレースがグランプリやチャンピオンシップ全体に大きな影響を与えない限り、レースウィークに書かれたコンテンツにおけるスプリントレースの割合は少ないというのが、全体としての見解だという。 そうした中でビニャーレスが達成したスプリントレース勝利は、MotoGPのスプリントレースに対する扱いへ一石を投じ、周囲の見方へ変化を促すものになるかもしれない。 実際、ライダーにとってスプリントレースと決勝レースにさほど違いはないとみることも可能だ。ビニャーレスはポルトガルGPのスプリントレースを制した後は、チームと共にまるで決勝レースの勝利かのように喜びを分かち合っていた。そして、少なくともビニャーレスはスプリントで勝つために決勝レース以上の努力を注いでいた。 「僕にとっては、(スプリントと決勝で)違いはない。なぜなら結局のところ僕たちは決勝レースよりもスプリントでよりハードにレースするからね」と、ビニャーレスは言う。 「これまで僕はスプリントでかなり苦戦してきたんだ。だからスプリントで勝てたのは、素晴らしいことだよ」 ただ当然ながらライダーでも意見は別れている。昨年のイギリスGPとマレーシアGPのスプリントレースで勝利したアレックス・マルケス(グレシーニ)は、イギリスGPでのスプリント勝利について、次のように語っている。 「良いレースだったね。でもウエットコンディションでのスプリントレースだ。僕はその点に関して現実的だし、『僕がレースで勝った。僕がベストなんだ』とは言わないよ。まあ、特殊な状況だったと分かっているんだ」