インハイ3連覇へ収穫あり「大舞台でも伸び伸びと」下級生たちの健闘も光った京都精華学園
■ 難敵に苦戦を強いられた近畿決勝
今年の夏、インターハイ3連覇が懸かるのが京都精華学園高校(京都府)だ。同校は6月21日~23日の間、和歌山県で開催された「第71回 近畿高等学校バスケットボール大会」に出場。その大会でも優勝を決めた。 だが、京都精華学園のここまでを振り返ると、決して楽な戦いではなかった。たった1枠のインターハイ出場権を争った京都府予選では決勝で京都両洋高校に辛勝。84-82と、わずか2点差での優勝だった。そして近畿大会でも決勝は同じく京都両洋と対戦。試合はインターハイ予選同様に終盤までもつれた。 その決勝戦、序盤から互いに点を取り合う中、第1クォーター中盤には京都両洋に先行を許してしまう。それでもユサフ ボランレ、林咲良(ともに3年)らの奮起で一度は京都両洋を捉える。しかし、第1クォーター終盤に再びフリースローから加点する京都両洋に引き離されると、第1クォーターは17-25とビハインドを負って終了した。 第2クォーターでもリズムに乗り切れず、京都両洋を追いかける時間が続く。だが、ここで踏ん張ったのが下級生たちで、1年生の満生小珀やンガルラ リヤ、2年生の石渡セリーナらが得点を挙げて徐々に点差を縮めると、残り3分には逆転に成功。そのままリードを広げて41-36で前半を終えた。 しかし後半、出だしで京都両洋に追いつかれると、第3クォーター終盤にはまたしても追う展開に。だが、この苦しい場面で今度は桃井優、橋本芽依ら3年生が勝負強くシュートを沈めていく。すると第4クォーター出だしには林のドライブからのバスケットカウント。さらにそこから1分も経たないうちにまたしても林が3ポイントシュートのバスケットカウントを決めて逆転に成功する。その後、一度は逆転を許したものの、再び橋本らの得点でリードすると、最後も橋本のフリースローで逃げ切り。75-73で僅差の試合を制した。
■ 「課題は山積していますが…」
インターハイ予選に続いての接戦に、「また2点差ですね…」と、山本綱義コーチ。ただ、第2クォーターでチームを救う働きを見せた下級生には「3年生はどこか引いているところがあって積極的に攻めていなかったのですが、1、2年生達は恐怖心もなく攻めていたと思います」と称えた。また、「(3年生の代わりに出た)1、2年生が試合を重ねるごとに経験を積んで、こういった大舞台でも伸び伸びとやってくれました。選手層を厚くするために2年生の育成を考えていたので、本来の目的からみると、結果としては成功したともいえます」と、大会を振り返った。 堀内桜花(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)、八木悠香(ENEOSサンフラワーズ)、ディマロ ジェシカ(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)といった下級生の頃からチームの柱を担ってきた選手たちが卒業した今年は、京都精華学園にとっても新たな挑戦の年。もちろん、林、橋本、桃井らアウトサイド陣は1年生の頃から場数を踏んできており、キャリアのある選手たちだ。だが、3人だけで勝ち切るのは厳しく、今年はこれまで以上に下級生の力、総合力が必要となってくる。「まだスタミナがもたない。それに後半はシュートが落ちることも増えていて、(40分を戦う)集中力もない」と、当面の課題を挙げた山本コーチ。さらに「(試合では)10人ぐらいでつなぐことができれば」と、夏に向けての抱負も語った。 「ディフェンスの課題、オフェンスの課題、シュートの課題、それからコミュニケーションの課題など課題は山積していますが、少しずつ解決し始めているかなという気がします」(山本コーチ)という京都精華学園。近畿大会では下級生の躍動もあった。そして3年生たちも意地を見せた。今大会で得た収穫と課題を糧に、新たなスタイルでインターハイ3連覇へと突き進む。 取材・文=田島早苗
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