「NON STYLE」石田明 一番強いネタを一本目にするか、二本目にとっておくべきか?さや香、笑い飯らから見る<ネタ選びの困難さ>。「サブスク全盛で<飽きる速度>が早くなった今…」
漫才日本一を決める『M-1グランプリ』。24年度では「9人審査員制」が採用され、柴田英嗣さん(アンタッチャブル)、哲夫さん(笑い飯)、礼二さん(中川家)、若林正恭さん(オードリー)らが務めることが発表。歴代王者を中心に新しい顔ぶれがそろうなか、注目を集めているのが『M-1 2008』の覇者で、漫才に対する分析が鋭すぎて「石田教授」とも呼ばれる「NON STYLE」の石田明さんです。今回その石田さんの新刊『答え合わせ』から『M-1グランプリ』にまつわるお話を紹介いたします。 なぜヒリヒリと<漫才とは何か>を追求していた『M-1グランプリ』で奇抜な漫才が台頭してきたのか?「そのきっかけは2010年からの…」 * * * * * * * ◆賞レースで「ネタ選び」を間違えるワケ 賞レースでは「ネタ選び」がとにかく重要です。 2023年のM-1では、優勝最有力候補ともいわれていたさや香の「2本目」が見ていた人をざわつかせました。 1本目では、淡々と話す石井くんに新山くんがぶつかって、どんどん加熱していくという、さや香らしいネタでトップに立ちました。 ところが優勝をかけた2本目は、ガラリとスタイルが異なる「見せ算」というネタをやった。結果、ファイナルステージでは1票も入らず3位に終わりました。 これが物議を醸し、あちこちから「もう1本、さや香らしいネタをやっていれば優勝できたかもしれないのに……」という声も出ていました。
◆素敵やなと素直に思って 僕自身は、寄席で一緒になったときに新山くんから「決勝でやりたいネタがあるんです。それで優勝できなくても後悔はありません」と事前に聞いていました。 なんのネタやろうと思っていたら、NGKでよく「見せ算」をやっていたので、これをM-1でやりたいんかと予想がついていました。1本目でトップに躍り出て、ビビらずに「見せ算」をやったのは素敵やなと素直に思いました。 もちろん、負けるつもりはなかったでしょう。 NGKでも、一般ウケするように微調整を加えたものをやっていたので、「これくらいの調整で、これくらいNGKでウケるんやったら、M-1決勝でも大丈夫やろ」という算段はあったはずです。
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