神戸MFイニエスタ（左）はPKを奪いDF酒井の祝福を受ける（2020年10月4日撮影）

　元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ（40）が8日に現役引退を発表したことに伴い、18～23年に所属したヴィッセル神戸がコメントを発表した。 　動画でコメントを寄せた元日本代表DF酒井高徳（33）は、世界的名手と過ごした時間で、プレーヤーとして成長できたことを感謝した。「僕はアンドレスの感覚でサッカーがしたいと思っていた。超一流の選手が考えていることを経験できるのは、限られた人しかいない。アンドレスの思想に少しでも近づけるようになりたかった。僕はパスをもらう側だったので、相手と自分がいる時に、アンドレスが持った時、相手の体がどういう向きになった時に出てくるかっていうのを意識して走っていた。今も相手の目線を見たり、動く工夫を意識する。やったことない感覚を教えてくれて、今も役立っている」。 　酒井は、19年から主将も務めたイニエスタのふるまいにも、リスペクトの思いを語った。「あれだけ絶対的な人が、それだけチームに自分の力を還元したり、チームに寄り添うことができるのは、それでこそトップにいる人なんだなと感じた。ピッチ内外で彼のリーダーシップや人間性を発揮してくれたおかげで今のヴィッセルがあると思う」。昨季初のリーグ優勝を成し遂げるまでになったクラブに与えた影響を振り返った。 　「彼の技術や彼が見せるプレーが日本中を魅了してくれた。世界トップの基準、質がどういうものかを示してくれた。日本が世界のラインを感じられる良い機会をくれた」と日本サッカー界にも多大な影響を与えてくれたことを感謝した酒井は、最後にイニエスタに向けてメッセージを送った。 　「アンドレス、お疲れさまでした。あなたとプレーできた3年間は僕にとって非常に大きな宝物です。僕が海外にいた期間でも見られなかった世界、感覚を教えてくれました。毎日の練習、試合がとても楽しく、刺激的でした。あなたとプレーした瞬間のフィーリングは一生忘れません。自分のサッカー人生の中でも、大きな意味を持つ時間でした。またどこかで会えることを楽しみにしています」 　千布勇気社長（39）も文書でコメントした。 　「20年元日には、クラブとして初めてのタイトルとなる天皇杯の獲得に貢献し、AFCチャンピオンズリーグへは20年、22年と2度出場することができ、まさにクラブとして新たな歴史をトモニ創り上げることができました」と感謝の気持ちを表明。 　続けて「昨年5月の退団会見の際『自分が引退したあともヴィッセル神戸に関わり続けたい』と語ってくれました。これまでヴィッセルで新たな歴史をトモニ創ってきたイニエスタ氏と将来別の形でトモニ歩める日が来ることを心から願っています」と今後の協業にも期待を寄せた。