「会社が辛い。仕事を辞めたい」今の職場、働き方に疑問を抱いている人に読んでほしいエッセイマンガ【書評】
大勢の「仕事を辞めたいなあ」と思っている人たちにとって、仮に自分が今の仕事を退職したら…を、まるで疑似体験させてくれるような本作。働き続ける中で徐々にダメージが蓄積し、結果として退職の道を選んだ著者の姿を見て、おそらく思うことは人によって千差万別だ。 彼女が心身共にストレスから解放されてよかった、と思う人。自分も彼女のように心のままに生きて、やりたいことに素直になろう、と心を決める人。 一方で退職後の彼女の辿った道を見て、自分なら不安の方が大きくて到底無理だ、と思う人。あまりにも考えが甘い、自分だったらせめて他の道を確立してからにする、と思う人。 どんな意見でも尊重されるのが大前提だ。しかし大事なのはこのエッセイを読んだことで何を思うかでなく、何を思ったかで「自分にとっての本当の幸せは何か」が炙り出されることにある。
安定度や収入が下がっても、自分の心に嘘をつかず生きることの方が幸せか。自分の希望を通すこと以上に、今の安定した場所を失う不安を感じない方が幸せか。あるいは、ある程度の生活水準も自分のやりたいことも、どちらも強欲に手に入れて幸せになりたいのか。 「もし今仕事を辞めたら」を、限りなく自分事として考えさせてくれる本エッセイ。働くすべての現代人に勧めたいが、特に今従事する仕事に疑問を持っている、という人にはぜひ本書を読むことで、自分にとっての本当の幸せを、改めて見つめ直す機会になってほしいと思う。 文=ネゴト / 曽我美なつめ