フィリピンの大物詐欺集団「JPドラゴン」と「ルフィ」との関係とは?「トップは顔が利く」幹部への単独取材で浮かび上がる犯罪の実態
フィリピンを拠点にした特殊詐欺事件に関与したとして警視庁は2024年11月19日、犯罪グループ「JPドラゴン」ナンバー3の幹部、小山智広容疑者(50)ら3人を日本に移送し、窃盗容疑で逮捕した。 フィリピンではニワトリを闘わせて賭博…闘鶏ビジネスを牛耳っていた「JPドラゴン」 捜査関係者によると小山容疑者は、2022年から2023年にかけて広域連続強盗を指示したとされる「ルフィグループ」で2019年まで電話で被害者をだます「かけ子」をしていて、その後「JPドラゴン」のグループに移ったという。 フィリピンの裏社会で活動する犯罪グループ「JPドラゴン」とは一体どんな組織なのか。 (テレビ朝日社会部)
■拠点はマニラ 「リゾートバイト」で日本人呼び寄せ犯罪に
関係者によると、「JPドラゴン」は日本の元暴力団員らがフィリピンで立ち上げた犯罪グループで、10年以上前から首都マニラを拠点に活動しているという。 日本とフィリピンの英語の頭文字をとって「JP」、そして創設者であり、組織のトップとされる人物の名前の一部を英語にした「ドラゴン」を組み合わせたのが由来だという。 フィリピンの国民的ギャンブルであるニワトリを闘わせて勝敗に金を賭ける「闘鶏賭博」やレストランなどを経営する一方、フィリピンを拠点にして集めた日本人のかけ子らを使って日本国内に電話をかけ日本人をだます特殊詐欺を繰り返しているグループだという。 海外からかけ子などを増やす手口としては、SNS上で「高収入のリゾートバイト」などと呼びかけて、フィリピンに来た日本人のパスポートを取り上げて脅すといった方法をとっているとみられる。
■フィリピン当局に影響力...「ルフィ」グループに「上納金払え」
「JPドラゴン」の存在は、「ルフィ」と名乗って日本での広域強盗事件を指示したとされる犯罪集団の捜査の進展とともに、徐々に明らかになってきた。同集団は、マニラ郊外の入管施設「ビクタン収容所」から、日本国内の実行役に指示していたとして、すでに今村磨人被告(40)や渡邉優樹被告(40)らが逮捕・起訴されている。 強盗事件の前には、もともとフィリピンの廃墟ホテルを使い特殊詐欺事件を行っていたとして逮捕・起訴されている。 この事件ではかけ子ら36人が2019年にフィリピンで一斉摘発され、70人以上が逮捕されるなどした。 関係者によると、「ルフィ」グループがフィリピンに進出し特殊詐欺を始める際に、現地で闘鶏賭博などの活動をし、警察当局にも大きな影響力を持っていた「JPドラゴン」側が、「警察官に拘束されたくなければ上納金を払え」と迫ったという。 そして「ルフィ」グループから拠点の一つを奪い取る形で、2018年ごろから「JPドラゴン」がフィリピンで特殊詐欺を始めたとみられている。