「弱音を吐いちゃうのも私じゃん」と…小泉今日子が考える世の中に“足りない”ポジティブさ
倉本聰さんが36年ぶりに映画脚本を執筆した作品『海の沈黙』に出演した小泉今日子さん。同期で同い年の本木雅弘さんとはどのような関係性を築いてきたのでしょうか。年齢を重ねることへのポジティブな思いも聞きました。 【画像】本木雅弘さんとの32年ぶりの共演について語る小泉今日子さん。
本木さんと私の関係性が、演技の一つの要素に
――「花の82年組」の同期である本木さんとの共演はいかがでしたか? 小泉 本木さんと私の関係性が、演技の一つの要素になったのではと思います。かつての恋人である津山竜次に再会したとき、安奈が竜次に「ずいぶんお痩せになったのね」と声をかけます。対面している現在の竜次の向こうに、若かりし日の竜次を見た安奈だからこそ言えるセリフで、本木さんと私はお互いに若かった頃の顔を、パッと思い浮かべることができたので、本木さんとでよかったなと思いました。 ――お互いよく知っているだけに、必要以上に親密さがにじみ出てしまう不安はありませんでしたか? 小泉 共演シーンは現場では数カットしかないので、それほど意識はしなくても問題はありませんでした。 それに、本木さんとは、お互いとてもよく知ってはいても、普段からそんなに話す間柄ではないんです。本人よりも彼のマネージャーさんとのほうがお付き合いが古く、親しくさせてもらっているので、彼女を通してお互いの近況を知ることが多いくらいです。 私は、本木さんの奥様の(内田)也哉子さんとも一緒にお仕事したりお茶したりすることがあって、也哉子さんのお母様の樹木希林さんやお父様の内田裕也さんとも交流があったので、本木さんとは、なんだかちょっと親戚感があるというか(笑)。裕也さんは私が出演した初めての映画で父親の役を演じてくださり、「芸能界に親父が必要だったら俺だと思って」と言ってくださいましたし、希林さんは若いときに共演して、その後もご一緒する機会が何度かあって、急にお電話くださったりする関係でもありました。だから、本木さんご本人とはあまりお話しする機会がなくても、勝手に親戚の人のように思っています。 ――「身内」という感覚なのですね。 小泉 そうですね。本木さんと私って、ずっとつかず離れず、親友みたいな感覚があるんですけど、それは多分、お互いにあまり性別を意識したことがないからだと思います。 アイドル時代からメイク道具の貸し借りをしたりもしていましたし、なんとなく「男性」「女性」ではなく、お互いにひとりの人間として尊重し合っていました。ほかのアイドルとメイク道具の貸し借りをした記憶はないので、本木さんとは最初から「親戚」とか「親友」といった雰囲気があったように感じます。 それに、本木さんとは、選んだ道が一番近いんです。「よ~いドン!」でアイドルとしてスタートして、結婚や出産という道を選んで活動を少しお休みする人もいましたし、引退した人たちもたくさんいた。俳優やアーティストになって活躍される方もいて、それぞれが色々な方向に進むなか、気がつくといつも横を走っていたのが本木さんだったと、今になって思います。