巨人入り甲斐拓也は阿部監督の要求に応えられるのか…「絶対的司令塔」に2つの不安材料
「捕手出身の阿部監督の要求にどこまで応えられるのか、見ものです」 ソフトバンクのチーム関係者がこう言うのは、FAで巨人入りする甲斐拓也(32)のことだ。 【写真】巨人元オーナー渡辺恒雄氏が死去…記者が見た強烈威光 その瞬間、読売関係者が道路の真ん中で大の字に 捕手としてゴールデングラブ賞7度は歴代3位。17年から日本シリーズ4連覇に貢献した扇の要に、阿部監督は「絶対的な司令塔が欲しい」とラブコールを送り、実を結んだ。 前出の関係者は、「甲斐がその『絶対的な指令塔』になれるのかどうか……」と、こう続ける。 「キャッチング、ブロッキングなど、守備面は文句ナシにうまい。ただ、『甲斐キャノン』と呼ばれた鬼肩は年齢的なものもあって、盗塁阻止率が年々落ちている。12球団トップだった21年は.452をマークしましたが、22年.343、23年.329ときて、今季は.284。許盗塁63は12球団ワーストでした。2019年ドラフト2位の海野が今季、自己最多の51試合に出場したのは、衰えを見せる甲斐の後釜作りが急務と、現場やフロントが判断した側面もあった。むしろ、巨人捕手で最も試合に出た岸田は、甲斐より守備のイニング数こそ280イニングほど少ないとはいえ、盗塁阻止率は12球団トップの.475。甲斐がスタメンマスクを被る試合では、足で引っかき回されかねませんよ」 加えて甲斐は、リード面の問題を指摘されるケースが少なくない。 80~90年代の西武黄金時代の正捕手だった伊東勤氏は今年の日本シリーズ期間中、自身のYouTubeチャンネルで「甲斐って意外と(配球の)パターン決まって来る」と、こう指摘した。 「序盤は真っ直ぐ系が中心、中盤はちょっと曲がり球を入れたり、最後は落ちるボールを入れる。だいたい(3つに)分けて配球するタイプ」 ライバル球団のスコアラーもこういう。 「球種に限らず、コースにも傾向が出ています。簡単に言えば、内を突いたら次は外……というような感じですね。もっとも、いくら傾向が分かっても、ソフトバンクはいい投手が多いから簡単には打てない。つまり、投手がいいから勝っている面はあると思います。そんな中、日本シリーズでDeNAに2連勝後に4連敗を喫して敗れたのは、29イニング連続無得点と打線が湿ったことだけが要因ではないと見ています。1戦目に7回無失点と好投した有原が6戦目に3回4失点でKOされたのは、DeNA打線が追い込まれるまで狙い球を絞って食らいついた事に加え、初回からストレートの状態が良くない有原に変化球を多投させた甲斐のワンパターンな配球にも課題があったのではないか。筒香が2回にチェンジアップを本塁打したのは、明らかに配球を読んだ結果です」 今季の巨人は岸田、小林、大城と3捕手を併用し、リーグ優勝を果たした。相手ベンチとの駆け引きも含め、投手中心の守り勝つ野球を掲げる阿部監督は、甲斐を不動の正捕手に据えることで連覇を目論むつもりだが、その甲斐は若手が多い巨人投手陣をしっかりリードできるのかどうか。 ◇ ◇ ◇ そもそも、「甲斐拓也は巨人にとってマイナスに働きかねない」という声もある。いったいどういうことか。元バッテリーコーチで評論家の秦真司氏が悲観した「問題点」とはいったい何か。いま、巨人で何が起きているのか。 ●関連記事【もっと読む】…では、それらについて詳しく報じている。