熊の目撃件数が集落内で急増 長野県安曇野市穂高の山麓エリアを中心に
長野県内各地でツキノワグマによる人身被害が相次ぐ中、安曇野市内では近年、集落内での目撃件数が急増している。市によると、令和4年度は11件だったが昨年度は48件と4倍超に増え、本年度は9月9日時点ですでに50件に上っている。個体数の増加などが背景にあるとみられ、県や市が注意を呼び掛けている。 市耕地林務課によると、集落内と林内を合わせた目撃件数は4年度が33件、5年度は57件。本年度(9日現在)は63件で、4年度からほぼ倍増している。 内訳をみると、4年度は集落内が11件、林内が22件で、集落より林内での出没が多かったが、5年度は林内9件、集落内48件と逆転。本年度も林内13件、集落内50件と同様の傾向にあり、熊が山から里地まで下ってきている状況がうかがえる。 1カ月に10件を超える目撃は4年度は7月のみだったが、昨年度と本年度は6~8月の3カ月連続で、熊が活発に動き回る時期が長引く傾向も見える。特に、防護柵がなく集落と林の境があいまいな穂高の山麓エリアで出没が多く、5日には穂高有明で沢登り中の男性(53)が襲われ、左腕や頭にけがをした。 同市を含む松本地域は、県が「ツキノワグマ出没注意報」を出している。市猟友会長の藤原英夫さん(75)=穂高牧=は、実際にはほぼ毎日のように出没するとし「キノコ採りの入山者が増えるこれからが一番心配だ」と話し、クマ鈴などの携行を呼び掛ける。 市耕地林務課は「熊は食べ物の匂いを嗅ぎつけて里に下りるので、誘因物となる生ごみなどを極力外に置かないようにしてほしい」と呼び掛けている。
市民タイムス