イオンリテールが関西で初出店した冷凍食品専門店（大阪府四條畷市で）

　スーパーや食品メーカーなどで冷凍食品を強化する動きが加速してきた。家庭向けを中心にコロナ禍で拡大した市場は、共働き世帯の増加や時間対効果「タイムパフォーマンス（タイパ）」を重視する意識の高まりで今後も成長が続くとみられる。少子高齢化で国内の食品市場が伸び悩む中、主導権を握ろうと各社がしのぎを削っている。（升田祥太朗） 【図表】国内冷凍食品市場の推移

将来性

　イオンリテールは9月下旬、大阪府四條畷市の「イオンスタイル四條畷」に冷凍食品の専門店「@フローズン」を開業した。

　関西では初出店。朝昼晩の3食とおつまみ、デザートに対応した約1500品目もの品ぞろえが特徴で、有名店監修のピザやカレー、ケーキもある。専用のレジも設置し、従来の冷凍食品売り場とは、規模も雰囲気も大きく異なり、大阪府大東市の主婦（72）は「スイーツや中華など自宅では調理しにくい商品もあって選ぶのが楽しい」と話していた。

　イオンリテールは2022年から関東を中心に「@フローズン」を展開していたが、好調のため関西でも店舗網を広げていく方針だ。青木郁雄・デイリーフーズ商品部長は「『時短・簡便』のニーズにマッチしており、将来性がある」と手応えを口にする。

　日本冷凍食品協会によると、23年の国内の冷凍食品市場は前年比3・4％増の1兆2472億円で過去最高だった。同協会が今年2月に実施したインターネット調査では、冷凍食品を利用する頻度が1年前と比べて「増えた」と答えた人は22・9％と、「減った」（6・6％）を上回った。

　コロナ禍の中食需要で消費者の裾野が広がったことに加え、「買い置きができて食品ロスの心配も少ない」（青木氏）という利点もあって、市場拡大が期待されている。

　セブン―イレブン・ジャパンは、都心部を中心に面積の小さい約3000店で従来の2倍超の容量がある冷凍ケースの導入を進めている。セブンの冷凍食品の販売額はこの15年で20倍に伸びており、パンなどの品ぞろえも強化していく考えだ。