“表現者”前田佳織里が目指すもの、2nd EP『Grab the World』に投影した内面と人生を語る
声優活動だけにとどまらず、音楽、役者業、バラエティ、日本酒プロデュースなど多岐にわたり精力的に活動を行う前田佳織里が、4曲入りの2nd EP『Grab the World』をリリースした。彼女のパワフルかつフレキシブルで、凛々しさと可愛らしさを兼ね備えたキャラクターだけでなく、声優として培ってきたスキルも活きた楽曲群は、彼女のこれまでの人生があってこそ完成したと言っていいだろう。今年3月には初のファンミーティングを行い、エンターテイナーとして新たなフィールドを開拓し続ける彼女に「表現」への思いを聞いた。 【撮り下ろし写真多数】『ラブライブ!』『ウマ娘』などの声優を務め、歌手として2枚目のEPをリリースした前田佳織里
もともと下剋上精神は強いほう
──前田さんは今年3月に初のファンミーティング「1st fan meeting talk & mini live 2024」を開催し、そこで2nd EP『Grab the World』の表題曲「常識外れヒューマン」を初披露したそうですね。このイベントはどんな思いのもと企画したのでしょう? 第1回目なので、特別なものにしたいと思いましたね。自分のやりたい演出をたくさん盛り込んで、初めて自分のライブ作りをちゃんとやれたという充実感がありました。シークレットゲストのリアルアキバボーイズの皆さんもお忙しいなかでわたしが輝ける振り付けを練ってくださって。MCを担当して下さった冨田明宏さんに支えて頂きながら、さらにファンの方がさらに盛り上げてくださったおかげで初めてのファンミとは思えないくらいのアットホーム感が生まれて、それにも本当に感謝しています。 ──ではかなり前田さんのなかでやりたいことは明確だったんですね。 そうですね。ファンの皆さんとコミュニケーションを取りたかったので、わたしのパーソナルなところを掘り下げるクイズをペンライトの色でみんなに答えてもらうクイズコーナーを企画したり。あとトークパートで自分のルーツについて話したんですけど、そこで紹介した「おジャ魔女カーニバル!!」や「ハレ晴レユカイ」をライブパートの中盤ぐらいで歌ったんです。 ──面白いですね。伏線回収みたい。 「おジャ魔女カーニバル!!」ではわたしがネットで買った『おジャ魔女どれみ』に出てくるステッキをステージの小机に置いておいて、「あれ? これは何……!?」みたいにちょっとお芝居を入れて呪文を唱えて曲をスタートさせてみて。みんなが「おっ!」となるような演出にしたかったんですよね。あと終演後のお見送りもわたしがやりたいと申し出て、みんなと顔を合わせられたのでうれしかったです。「どうしたらお客さんの心をつかめるかな?」と考えたり、それを実行に移すのが好きなんですよね。 ──今作『Grab the World』にはそういうエネルギッシュな前田さんのキャラクターがよく出た楽曲が多く収録されているのではないでしょうか。タイトルはその象徴だと思います。 前作の『未完成STAR』というタイトルを3曲目に収録された「ポジティブガール」の歌詞から取ったように、今回の『Grab the World』は2曲目「Dream’s Top Star!!」の歌詞から取ったんです。次のステップに行く、夢は大きく世界に通用するような存在になる、いろんな人にこのEPを愛してもらいたいなど、いろんな意味合いが込められているんですけど、そこに共通する「さらに広げていきたい」という気持ちを象徴するのがこの「Grab the World=世界を掴む」なんじゃないかなって。もともと下剋上精神は強いほうではあるので(笑)。 ──下剋上は下位の人間の起こす行動を指しますが、前田さんにもそういう感覚があるということですか? ありますね……。わたしはやりたいことがいろいろあって、ひとつの場所に落ち着くというより、常に何かを探したり前を向いたりいろんな方向を見ているような気がします。「わたしはこのお仕事をしていなかったら何をやっていただろう」とか「このお仕事だからこんなに自分らしくいられるんだな」とつくづく思うんです。ほんと「表現」というものがあるから、やりたいことができる気がする。そのためにもこの世界で輝いていたいし、高みは目指したいんですよね。だから今回のEPでは自分の殻を広げるチャレンジをしました。「常識外れヒューマン」はまさにそういう曲で。