カワイイ昭和のバブルカーが1000万円弱!! BMW「イセッタ」に施したMカラーは「チーム・ブレヒト」のマスコットカーのイメージでした
Mカラーで彩られたマスコットカー・レプリカ
このほどRMサザビーズ「The Dare to Dream Collection」オークションに出品されたBMWイセッタ300は、シリアルナンバー・プレートにより、英国イーストサセックス州ブライトンの「イセッタ・オブ・グレート・ブリテン社」がBMWとISOのライセンスを受けて製造した英国市場仕様車であることが確認されている。 ただ、「ブライトン・イセッタ」と呼ばれる英国製イセッタは、税制上有利な3輪モデルが多勢を占めていたはずだが、この個体は希少な英国製4輪イセッタのようだ。 この種の大衆車にはありがちなことだが、新車時代からの来歴については途絶えており、分かっているのはカナダのアルバータ州に住む、ロバート・メイトランドなる人物が入手してからのこと。その後、北米カリフォルニア州サンディエゴの著名なBMWディーラー「ビル・ブレヒト」社直轄のレーシングチームである「チーム・ブレヒト」の有名なマスコットカーをイメージしてレストアされることになったとのことである。 チーム・ブレヒトのマスコットカーもこの個体と同様の4輪版イセッタで、白を基調に、「BMWモータースポーツ」の伝統的な斜め三色ストライプが施されている。今回の出品車両であるイセッタ300にも同じカラーリングが施されたが、サンルーフは無地の黒いファブリックで、エクステリアトリムにも若干の変更が加えられており、運転するのと同じくらい見るのも楽しいクルマとなっている。 2013年に「The Dare to Dream Collection」が入手したこの印象的なイセッタは、全体的に非常に良好なコンディションを保っており、新車時と同じ無敵の魅力を放っている。たとえば、究極のドライビングマシンを愛するBMWエンスージアストがサーキットのパドックにて使用するには、理想のクルマであることは間違いない。
エスティメート上限を大幅に上回り落札へ
「どこへ行っても最も人気のある自動車のひとつ」。RMサザビーズ北米本社はそんなPRフレーズを添えて、3万ドル(約475万円)~4万5000ドル(約715万円)というかなりの自信をうかがわせるエスティメート(推定落札価格)を設定した。 また、今回の「The Dare to Dream Collection」オークションは、すべて「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」形式で行われるというのが前提条件。したがって、たとえ入札が希望価格に到達しなくても落札されてしまう「リザーヴなし」で出品されることになっていた。 エスティメートの段階からけっこう高価だったこともあって、「リザーヴなし」ではしばしば起こりうる安価な落札もオーナー側では危惧しただろうが、競売が終わってみればエスティメート上限を大幅に上回る5万8800ドルで落札されるに至った。 つまり、現在のレートで日本円に換算すると約950万円という、たとえ現在の円安の為替レートを加味して考えても、いささか驚きを禁じ得ないようなハンマープライスとなったのだ。
武田公実(TAKEDA Hiromi)