「自分には何もない」と71歳で吉本興業養成所の門を叩いた若手芸人・おばあちゃん。「現在77歳。年を取ったからできることもある」
厚生労働省の調査によると、2023年6月時点で70歳以上まで働ける制度がある企業は約10万社とのこと。社会が「人生100年時代」に向けて変化する中、自発的に働く高齢者の方も多くいらっしゃいます。今回紹介するのは、77歳で芸歴5年の若手芸人「おばあちゃん」。おばあちゃんは「振り返ってみれば、これまでの人生はチャレンジの連続でした」と言っていて――。 【写真】「センターマイクが点滴に見えるかもしれません」ネタを披露する芸人・おばあちゃん * * * * * * * ◆ヨボヨボの若手 こんにちは、「おばあちゃん」です。ただいま77歳の、後期高齢者。 私が劇場の舞台に立てば、老人が病院と間違えて迷い込んだと勘違いする人もいるかもしれません。 センターマイクを持つと、点滴に見えるかもしれません。 でも、こう見えても現在、吉本興業(よしもとこうぎょう)に所属する“芸人”です。 年齢だけはベテランながら、まだ芸歴5年というヨボヨボの若手でございます。
◆私が一番びっくり そう、実は私、71歳で吉本興業の芸人養成所である『NSC(吉本総合芸能学院)』に入学しました。どうやらNSCでは珍しい高齢の生徒だったようです。 そのせいか、学費を振り込もうとした銀行では詐欺に遭っているのではないかと疑われ、入学式では生徒の祖母と間違われ……。確かに、まさかこんなおばあちゃんが一からお笑いを勉強するとは誰も思いませんよね。 でもありがたいことに、同期の人たちをはじめとする周りの温かいサポートのおかげで、無事に卒業することができました。 その後、自分を芸人だと自覚しないまま、呼ばれたライブに出るという生活を続けること数年。 2023年6月に、本人はよく理解せずに参加していた東京『神保町よしもと漫才劇場』のオーディションバトルに勝ち上がっていたようです。周りの人たちに教えられ、所属メンバーになったと知りました。 にもかかわらず、さまざまな新聞やテレビ、雑誌などに取り上げていただき、本を出すまでに至り、私が一番びっくりしています。
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