【田辺裕信のゆる~い話】道悪馬場の適性は得意不得意ではなく、苦にするかしないか
2日は全国的に雨で、道悪での開催となりました。雨の中のレースでは、いろいろと気をつけることがあります。例えば、ダートであれば、不良馬場だと砂の下の硬い路盤に蹄鉄が当たると滑りやすくなります。また、水たまりができると、経験が少ない2歳馬は、それに物見をしたり、照明がつくと水たまりに反射した光に反応したりする馬もいます。 気にする程度ならばまだよくて、驚いて横に飛んだり、あるいは急ブレーキをかけようとしたりするので、特に気をつけて乗っています。芝のレースは馬場が軟らかくなるとバランスを崩しやすくなりますし、良馬場と比べて体力の消耗も増しますので、道中のリズムや脚取りなどを気にしてはいます。 よく道悪馬場の適性について、得意、不得意といわれることがあります。でも、実際に乗っている側としては、苦にする、苦にしないという感覚かもしれません。他馬が苦にしているけど、自分の馬はまだましかなという程度で、得意という感じとはちょっと違うように思います。 フランスの凱旋門賞などは、雨が降ると日本の馬場とは比べ物にならないくらい馬場が悪くなるといわれます。それに対して、どこまで苦にしないか。地元の馬は悪化した馬場を経験しているのに対して、日本の馬は初めてというケースがほとんどだと思うので、道悪に対しての慣れという部分もあるのだと思います。(JRA騎手)