映画『箱男』Netflixで独占配信 現代社会に通じる「匿名性」描く安部公房の怪作を実写化
小説家・安部公房さんの小説を原作とする映画『箱男』が、1月17日(金)からNetflixで独占配信される。 【画像7点】箱男を誘惑する謎の女役・白本彩奈さん 監督は、安部公房さんから映画化を託された『爆裂都市 BURST CITY』『狂い咲きサンダーロード』の石井岳龍さんがつとめた。
匿名性の高まる現代社会に通ずる『箱男』
『箱男』は、『砂の女』や芥川賞受賞作の『壁 - S・カルマ氏の犯罪』 などでも知られる安部公房さんが1973年に発表した作品。 ダンボールの箱を頭から被り、箱の覗き窓から外を見つめて都会を彷徨う「箱男」の記録という構成で、語り手や時系列が入り乱れる複雑な構造をとっている。 本作では、見る/見られるという関係や、匿名性について考察されており、SNSなど匿名の存在として他人と触れる現代社会に通ずる部分がある。 現代のポップカルチャーにも影響を与えており、ゲームクリエイター・小島秀夫さんの「メタルギア」シリーズにおいて、主人公がダンボールを被って敵をやり過ごす姿は、『箱男』にオマージュとして捧げられたものでもある。
安部公房の生誕100年を飾った映画『箱男』
ヨーロッパやハリウッドの著名な映画監督も熱望していたが、安部公房さん側が許諾しなかった『箱男』の映像化。 しかし、安部公房さんから石井岳龍さんへの「娯楽にしてくれ」という要望のもと、1997年に製作が決定。 頓挫を挟んだものの、安部公房さんの生誕100年にあたる2024年、8月23日に劇場公開された。 主演は永瀬正敏さん。その他にも佐藤浩市さんや浅野忠信さん、白本彩奈さんらの実力派俳優が名を連ねる。 【映画『箱男』あらすじ】 完全な孤立、完全な孤独を得て、社会の螺旋から外れた「本物」の存在。ダンボールを頭からすっぽりと被り、街中に存在し、一方的に世界を覗き見る『箱男』。カメラマンである“わたし”(永瀬正敏)は、偶然目にした箱男に心を奪われ、自らもダンボールをかぶり、箱男としての一歩を踏み出すことに。しかし、本物の『箱男』になる道は険しく、数々の試練と危険が襲いかかる。存在を乗っ取ろうとするニセ箱男(浅野忠信)、完全犯罪に利用しようと企む軍医(佐藤浩市)、“わたし”を誘惑する謎の女・葉子(白本彩奈)......。果たして“わたし”は本物の『箱男』になれるのか。そして、犯罪を目論むニセモノたちとの戦いの行方はー!?
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