キャンパスノートのロゴ位置が違う!限定色マーカーもある!?「ファミマ×コクヨ」コラボ文具の開発秘話
◆1日の空の色の変化に注目した「マーカーセット」
そうしてでき上がったアイテムでまず注目したいのは、限定の「マーカーセット 空と時間(5色入り)」(990円)でしょう。 このセット、今回のプロジェクトのために考案された色をセットにしたもので、単体では売っていない色なのです。 「空と時間の色」をイメージしたという、「夜明けの黄」、「晴天の青」、「夕焼けの橙」、「夕暮れの紫」、「夜空の紺」の5色セット。ソフトカラーのインクを使った細い文字書きとラインマーカーの2WAYタイプ。 「このマーカーセットのような、遊び心のあるエモーショナルなアイテムは、コンビニにはなかなか置きづらいんです。ただ、こういう商品を定番品の中にちりばめているというのが、ファミリーマートらしい品ぞろえかなと思っています。 一般的に、コンビニにマーカーは1本100円のピンク色と黄色のものしかありません。もちろんそれが売れるからなのですが、今回のマーカーセットが実際売れているんです。 そういう需要があるということは、従来の品揃えだったら気が付かなかったと思います」と永松さん。 実際、オリジナルカラーのマーカーセットは、かなり大きな文具店に行かないと売っていません。限定品とはいえ、それがコンビニで手に入るというのはかなり画期的なことです。 しかも、落合さんが実際に撮影した空の色を参考に、コクヨがこの製品のために作った色なのです。それはいわば、コクヨのマーカーペンの新製品と言っていいのかもしれません。 「SNSなどで、名付け方がいいという反響もありました。こうした色の名前なども社内だと気が付きにくい部分なんです」と永松さん。 「実際に使っている人の方が気が付きやすい部分なのかもしれません」と矢野さん。
◆コクヨらしさとファミマの思いをつなぐ新デザインの『キャンパスノート』
コクヨの人気商品、キャンパスノートはコンビニエンスウェアでも「キャンパスノート」として販売されています。ただ、これも今回のために作られた新しいデザインになっています。 中紙などの「キャンパスノート」としてのアイデンティティーはそのままに、例えば、ロゴが下ではなく上方に付いています。 これは、売り場で表紙を正面に向けて陳列したときに、下の部分が隠れてキャンパスのロゴが見えなくなってしまうことを避けるため。 「キャンパスノートは、ある意味、『普段使いの道具』の象徴だと考えました。文具売り場にキャンパスノートがあるという安心感は絶対にあると思ったんです。 なので表紙が横にずらっと並ぶように置いて、しかもキャンパスのロゴもしっかりと見せたくて。表紙や裏表紙は大幅なデザイン変更をお願いしたのですが、快く引き受けてくださいました」と永松さん。 そのキャンパスノートは、実は、今回かなりのバリエーションがコンビニエンスウェア文具として販売されています。ロゴ自体も形は同じなのですが、 そこに遊び心でファミマカラーを入れたりと、おなじみのデザインだけど少し違うという楽しさがあります。 また、使い方に合わせてどちらからでも使えるように裏表紙にもロゴが入っているのがコンビニエンスウェア文具のキャンパスノートの特徴です。 その他、開いてパソコンの手前のスペースに置ける、リングタイプで横長のキャンパスノートもラインアップされています。 「コンビニでは綴じノートは、B5サイズが定番なんです。でも今回は、サイズも豊富にそろえた上に、罫線もA罫とB罫の両方を用意しました。 学生さんは、用途に応じてサイズや罫線を使い分けているので、そういう部分もしっかり充実させました。 また、キャンパスノートは親御さんも使っていたノートですから、世代を超えて会話を弾ませることもできるのではと考えました。それが一番できるのがキャンパスノートだと思います」と永松さん。 他にも、全てのアイテムにこっそりとテーマカラーに定めたブルーが入っていたり、消しゴムはファミマカラーの緑、白、青3色に合わせて3個入りにしたり、パッケージは紙や一部にバイオマスプラスチックを使用したりと、定番品でありつつ、ファミリーマートならではのサステナビリティーの姿勢や、コクヨならではの使いやすさが詰め込まれています。 コンビニでは珍しい、針なしホッチキスがあるのも、サステナブルの取り組みの一環です。 まるで、文具専門店が身近にやってきたようなラインアップは、コンビニで文具を選ぶ楽しさも味わえるようになったということですね。
▼納富 廉邦プロフィール
文房具やガジェット、革小物など小物系を中心に、さまざまな取材・執筆をこなす。『日経トレンディ』『夕刊フジ』『ITmedia NEWS』などで連載中。グッズの使いこなしや新しい視点でのモノの遊び方、選び方を伝える。All About 男のこだわりグッズガイド。
納富 廉邦(ライター)