『なのは』水樹奈々、『神無月の巫女』KOTOKO……“現代アニソン黎明期”は2004年秋が起点に?
2004年秋クール楽曲、『神無月の巫女』KOTOKO・『ローゼンメイデン』ALI PROJECTも
そして2004年秋クールの作品として個人的に推したいのが、『神無月の巫女』(チバテレほか)。KOTOKOが歌うOPテーマ「Re-sublimity」も、現在まで語り継がれている名曲の1つで、静かな熱さを感じさせるボーカルとクールな電子音の組み合わせがたまらない。この楽曲はサウンドクリエイター集団・I'veの高瀬一矢が手掛けており、トランスをベースとした打ち込みサウンドは“I'veサウンド”(I've Sound)と呼ばれるほど、彼らの音楽の特徴的な要素だ。ほかにもハードなロックナンバーから電波ソングまで、彼らが手掛ける音楽ジャンルが多彩なことから、『灼眼のシャナ』(TBS系)、『とある魔術の禁書目録』(AT-Xほか)、『ひぐらしのなく頃に』(カンテレ・フジテレビ系)など、00年代以降のアニメ作品においてもI'veは非常に大きな存在感を放っている。同じくKOTOKOが歌ったEDテーマの「agony」も含め、『神無月の巫女』のI'veサウンドをぜひとも浴びてもらいたい。 ゴシックロリータのアンティークドールたちの戦いを描いたアニメ『ローゼンメイデン』(TBS系)の第1期も、2004年秋クールの作品。ALI PROJECTの歌うOPテーマ「禁じられた遊び」は、ゴシックでダークなALI PROJECTの独特な音楽性と、作品の世界観がピタリとハマった親和性の高い楽曲だ。アニソンにおいてゴシックやプログレのサウンド要素はいつの世も一定の人気があり、『未来日記』(TBS系)でお馴染みの妖精帝國や次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!』のRoseliaやAve Mujicaなど、現代に至るまでゴシックなアニソンは常に生み出され続けているのだ。だが、上坂すみれをはじめ業界内外に影響を受けた人が多数存在することを考えると、やはりALI PROJECTは特別な存在であると言えるだろう。 他にも、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(MBS/TBS系)、『BLEACH』(テレビ東京系)、『月詠 -MOON PHASE-』(テレビ東京系)など、様々な作品が放送開始となった2004年秋クール。アニソンとは普段あまり関わりのないアーティストが歌う主題歌やキャラソンなど、今回触れられなかったジャンル/楽曲も数多く存在するが、それらも含めて現代を取り巻くアニソンに確実に繋がっている。当時アニメを観ていた人はもちろん、この時代の楽曲に触れたことがない人も、現代アニソンの流れを知る上で一度触れてみてはいかがだろうか? ※1:https://www.oricon.co.jp/news/466/full/
河瀬タツヤ