朝ドラ「虎に翼」ヒットの「はて?」伊藤沙莉が演じる女性法曹の開拓者、ジェンダー不平等社会の“今”
それぞれの人生の転換
崔は同居していた兄に共産主義者の疑いがかかり、先に朝鮮に戻った兄を追う覚悟を決める。彼女には学友たちに隠していたことがあった。 出版社に勤める兄の同僚の朝鮮人が共産主義者の疑いで逮捕され、崔も特高警察の調べを受けた。そのときはふたりともすぐに帰宅を許された。刑事の一言が崔を傷つけた。 「あんな難しい試験に受かると思っているのか? 試験を受けるのと、合格するのは違う。共産主義者の疑いがある兄がいるお前が合格するわけがない」と。 それでも、崔は甘味処に住み込みで働きながら、寅子たち勉強を続けているようにみえた。しかし、崔は試験をあきらめていて、仲間が合格するために判例を探したり、勉強のテーマを提案したりしていたのだった。 勉強会を邪魔するように店に特高の刑事がやってくる。「(崔の兄は)朝鮮で運動をしている。ここにかくまっているのではないか?(兄からの手紙があれば)みせろ!」と迫るのだった。刑事は崔から兄の手紙を奪うようにして、他の手掛かりがないので帰る。 男装のよねはいう。「朝鮮に帰るのはいまだぞ。いましかない」と。 寅子は突然言い出す。「海にいきませんか。楽しい気持ちになるために」 仲間たちと海にたどり着くと「はて?思っていたような場所とは違う」。「はて?わたしたちは思っているところとは違う方向に走ってきたのかも…」 崔はいう「結果としていい方向にいきます」と。
桜川男爵の娘の涼子から仲間に自宅に集まるように連絡があった。父親の侑次郎(中村育二)が芸者と家を出たというのである。涼子に最後に「もうお前も自由なんだ。好きにするといい」と言い残して。 一人娘の涼子は婿をとって、桜川家を存続させる決断をしたのだった。家族ばかりではなく、使用人たちの生活を考えた末のことだった。 弁護士の妻・梅子(平岩紙)は、夫から離縁状を突きつけられる。「子どもたちに会うこともならん!」と。梅子は高等試験司法科の受験会場に現れることはなかった。