【トランプ新政権で変化する「金価格」の動向】最高値更新でもまだ上昇期待が高まる理由 変わりつつある「金投資の常識」
ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利し、ますます目が離せなくなっている資産が「金(ゴールド)」だ。10月31日に1gあたり1万5162円と史上最高値を更新。すでに高騰していた1年前(2023年10月の平均価格9246円)と比べても約1.5倍に急上昇しているのだ。金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏が語る。
「ここ2~3年で金価格が上昇した要因の1つは、新興国の中央銀行が金を買い続けていること。中国、インドをはじめポーランドやハンガリー、シンガポールなどこれまで金に関係のなかった国まで買い始めている。外貨準備として保有していたドルの価値への不安から金に換えている状況です。 金は将来の不確実性や不透明要因が多い時に買われるため、昨今の中東情勢の緊迫や台湾をめぐる中国の動きなど、地政学リスクが高まっていることも金価格上昇に影響しています」 その動きに拍車をかけたのが米大統領選だった。大接戦が予測され、“アメリカが分断されるかもしれない”という不安から10月以降に金が大量に買われて最高価格を更新。フタを開けるとトランプ氏の圧勝となったため、上昇トレンドはひとまず落ち着きを見せているが、亀井氏はこう続ける。 「トランプ氏が公約通りに関税強化や大型減税を実施したら、インフレが再加速したり、財政赤字が膨らむことでアメリカ国債の信用が落ちて金利を上げざるを得なくなったりと“トランプ政権は大丈夫か”という人たちが出てくるでしょう。そうなると、また『金』が買われる。これからまた上がっていく可能性があり、選挙後に下げている今が“買い”のチャンスと考えられます」 コモディティーインテリジェンス代表の近藤雅世氏も、こう指摘する。 「金への投資は、株式売買に比べても非常に効率的な資産形成方法です。金は天然資源であるため、いずれ枯渇する運命にある。2023年末の金の地上在庫は21万2582トンで、これから供給が少なくなり需要が増えるとしたら、金価格は今後も上昇を続ける可能性があります」