フリーランスを保護する「新法」施行へ 報酬額などの明記を義務化 強い立場の発注者側の「買いたたき」など背景に 横川楓
企業などに雇用されず、個人で仕事を受注する「フリーランス」。自由な働き方ができる一方、立場が強くなりがちな発注側から不当な要求を受けるなど、契約や仕事をめぐってトラブルになることがあります。そんなフリーランスで働く方を保護する「フリーランス新法」が、この11月から施行されることになりました。 * * * 自分でやるべきことも多い半面、自由な働き方ができるフリーランス。「好きな仕事をしたい」と、私の周りでも最近、会社員をやめてフリーランスで働く人がかなり増えました。 そのようなフリーランスで働く人たちを保護する法律として、11月1日から施行されるのが「フリーランス新法」です。 「フリーランス新法、勧告・命令した事業者名と内容公表へ 公取委方針」(10月1日配信、朝日新聞デジタル) 新法は、公取委が所管する「不利な取引の是正」と、厚生労働省が所管する「育児や介護と仕事の両立などを可能にする環境整備」の2本柱からなり、11月1日に施行される。 ■そもそもフリーランスとは フリーランスとは、会社などに雇用される形ではなく、一人で仕事を受注する働き方のこと。厚生労働省の定義によれば、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」とされています。 税法上は基本的には「個人事業主」であり、開業から1カ月以内に開業届を出すことが定められています。仕事を受注し、一定の収入を得ている場合には、確定申告が必要となります。 働いている方の多くが、正社員や派遣社員、アルバイトといった一般的な「労働者」だと思いますが、そのような方々は会社と「雇用契約」を結び、会社からの指揮命令を受けて仕事をしています。 一方、フリーランスは、所属している企業が守ってくれる会社員などと違い、個人という弱い立場で働くからこそのトラブルに遭うことがあるわけです。 そこでフリーランス新法は、フリーランスと事業者との間の取引の適正化と、フリーランスの就業環境の整備を目的としています。 なお、新法の適用対象となるのは、事業者からフリーランスへの業務委託(事業者間取引)です。一般の消費者個人からフリーランスへの依頼や、フリーランスが自分で何かを一般の方に販売した場合などは対象外です。 つまり、いわゆるBtoB取引には適用されるけど、BtoC取引には適用されません。