ウクライナは「テロ国家」となりロシアを怒らせ、戦争継続を選んだ
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、必死になってウクライナ戦争を継続しようとしていることは、拙稿「いつまでも戦争止めないゼレンスキー…それは止めたら自分が追放されるから」に書いた。ウクライナ国民を無視して、戦争継続による戒厳令続行によって、もう半年以上前に任期切れとなった大統領職にしがみつこうとしていることを紹介したのである。 ついに職務停止…尹錫悦大統領「5回の談話」の恐るべきKY度 今回は、ロシア国内での「テロ」行為を活発化して、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を怒らせて、ロシアが戦争の停戦・和平協議に向かわないようにしているという話をしたい。 最近になっても、「ロシアの野望はウクライナで止まることはないだろう」として、「トランプ政権はまず、ウクライナでの戦争を管理しなければならない。ウクライナが有利な条件で戦争を終結できるよう支援することが、ロシアからの侵略の脅威とそれを支える動乱の軸を減らす最も明確な方法である」とする論文が『フォーリン・アフェアーズ』に掲載されている。しかし、現実には、ロシア軍がコークス生産の拠点ポクロフスクを占領するのは時間の問題だ。ここがロシア側に陥落すれば、ウクライナの鉄鋼業は大打撃を受ける。つまり、「ウクライナが有利な条件で戦争を終結できる」状況にはないのだ。
ウクライナ=「テロ国家」?
だからこそ、ゼレンスキーはロシア国内で「テロ」を仕掛けることで、プーチンを激怒させて停戦・和平に舵を切らないようにさせているように映る。 その典型が、12月17日早朝にモスクワで起きた、ロシア軍放射線・化学・生物兵器防衛部隊長のイーゴリ・キリロフ中将と助手の爆殺事件である(下の写真を参照)。スクーターに取りつけられていた爆発物が、彼らが住宅ビルから出た際に爆発したのである。 興味深いのは、この犯行について、「ウクライナ保安局(SBU)当局者は17日、キリロフは『ウクライナ軍に対して禁止されている化学兵器の使用を命じたため、完全に正当な標的であった』とのべた」、と「ワシントン・ポスト」が報じた点である。つまり、ウクライナ側が犯行を事実上、認めたことになる。ただし、ロシア側の情報では、ウクライナにあるアメリカのバイオ研究所やウクライナ軍(AFU)による有毒物質の使用について、軍部のブリーフィングで話したのはキリロフだったから、ウクライナ当局にとっては、キリロフが目障りな存在であったのかもしれない。 18日付の「ニューヨーク・タイムズ」はさらに踏み込んで、暗殺は、2014年にSBUの司令官に就任して以来続けてきたヴァレンティン・ナリヴァイチェンコの活動の集大成であったと報じている。彼は、長年の側近であるヴァレリー・コンドラチューク将軍とともに、SBUの第5部局として知られる新たな準軍事部隊を創設した。この部隊は、最終的にはCIAから訓練を受け、敵地での秘密工作活動を行ってきたという。