ポール与那嶺氏語る「日本企業が世界で戦う鍵」 ポール与那嶺さんにインタビュー(後編)
世代交代やいい人材を育てていくためにも、報酬を上げていくことは意味のあることです。それがなければ、結果的にいい人材を採用できず、いい人材を残せない、育たない状況が生まれている。トップの水準が上がらないと下も上がらない。 日本のワーカーは世界一ですよ。教育も整っている。将来的には外国人を採用していかなければならないですから、優秀な人材を得るためにも、日本国内の報酬制度の見直しは絶対に必要になってきますよね。この点もグローバルになっていく視点で見直しが必要だと思います。
■複雑な日系コミュニティー ―――ビジネスの連携においてはやはり「人」が重要ですが、アメリカ本土やハワイの日系人社会も世代交代が進み、若い人たちの意識の変化も感じるのではないでしょうか。 日系コミュニティーも複雑で、世代によって違いがあります。私の祖父も含め、かつていい生活を夢見て移民として渡ってきた人たちは、まさか戦争になるとは誰も思っていなかったわけです。戦中も戦後も、白人社会の中で日系人が生活していくのはかなり大変なことでした。
その影響のためか、私たち日系3世は暗に、目立たないほうがいいよというインダイレクトなメッセージを強く受け止めてきたように感じています。 企業で言えば中間管理職、医師や弁護士がとても多い。実際、私がセントラル パシフィック バンクのCEOになったときに、アメリカの上場企業で日系人のCEOは私ただ1人でした。信じられないですよね。 3世というのは戦争の影響もあったと思いますが、ある意味抑えられていたのではないかと思うんです。それと比べて、4世、5世となると背負うものがない。すごく明るくて非常にナチュラル。われわれから見ていてスッキリします。
うちの子供たちも肌の色の違いなど関係なくわいわい仲良くやっていて、そんな姿を見ると嬉しくなりますね。 ―――ダニエル議員やお父様が日系人のために、という思いで奮闘したような力はこれからの世代には生まれにくい面があると思うのですが、日系コミュニティーの若い世代に何を期待しますか。 確かに、私たちより上の世代に比べて日本のルーツへの意識は薄いですよね。だけど運よくアメリカでは日本ブームで、マンガ、アニメ、和食が人気で、日本への関心が高まっています。