日本は定年延長、シンガポールは再雇用…「働く老年」韓国は?
高齢化時代、継続雇用政策討論会
定年延長、再雇用など、継続雇用の議論が活発な中、日本、シンガポールなどの海外の高齢者雇用制度への関心が高まっている。日本では65歳までの雇用を実質的に保障しており、シンガポールは68歳まで少なくとも1年単位で再雇用させている。専門家は、海外の事例、韓国の労働環境などを検討、考慮して継続雇用制度を設計すべきだと指摘する。 28日の韓国雇用労使関係学会の政策討論会で発表された、江原大学比較法学研究所のパク・スギョン研究教授による「人口の高齢化と高齢者の雇用延長」と題する基調提起文によると、日本の法定定年は韓国と同様に60歳だが、使用者に65歳までの労働者雇用確保措置を義務付けている。65歳まで雇用を実質的に保障しているのだ。日本の高齢者雇用安定法は、定年を65歳未満に定めている使用者は、65歳までの定年延長▽定年制度の廃止▽65歳までの継続雇用制度の導入の3つのうちいずれかの措置を取らなければならない。履行しない企業は企業名の公開という制裁を受ける。 日本はまた、2020年の同法改正で、労働者が70歳になるまで就業確保措置を取るよう使用者に努力義務を課した。70歳までの定年延長、継続雇用制度の導入、起業支援などの措置を講じるよう「努力義務」を明示したのだ。パク・スギョン研究教授は「高齢者就業確保措置の実施は努力義務であるため、使用者は定年の延長や廃止を除く措置を取る際には対象となる高齢者の基準を定めることができる。ただしそれも労使が合意しなければならず、労組などの過半数の同意を得ることが望ましい」と説明した。また、高齢者の年齢が高まるにつれて継続雇用できる使用者の範囲も拡大する。60歳から65歳未満の場合は、継続雇用の範囲は自社あるいは子会社などの特殊関係事業主まで。65歳から70歳未満の場合は、特殊関係事業主以外の企業での継続雇用も可能となる。 シンガポールの法定定年は63歳で、勤務実績、健康状態などの資格を備えた労働者は68歳まで使用者に再雇用させている。再雇用契約は最低1年で、毎年更新できる。使用者が再雇用できない場合は、他の使用者への雇用の引き継ぎも可能だ。ただし、新たな使用者による再雇用義務の引き継ぎと、新たな使用者の再雇用提案への労働者の同意が必要だ。もちろん、労働者は新たな使用者の再雇用提案を断ることができ、その際には現使用者から雇用支援金が受け取れる。パク研究教授は「韓国だけでなく日本、シンガポールのいずれも、定年後の賃金水準など、労働条件の変化は共通する」と語った。2030年には、シンガポールの法廷定年は65歳に、再雇用は70歳に延長される予定だ。 専門家は、韓国でも高齢者の継続雇用のための制度が必要だと語る。パク研究教授は「日本とシンガポールでは長きにわたり高齢者雇用制度の軟着陸に努めてきた。その結果、ある程度労使の自律性にもとづいて制度が運用されている」とし、「韓国もやはり労働・雇用環境、労使関係などに適合した制度を設計し、それを履行するための方策を考えなければならない」と述べた。忠北大学のパク・キホン教授(経済学)は「継続雇用の促進には十分な財政的支援が必要」だとしつつ、「企業に継続雇用を促すためには高齢者の生産性が重要で、生産性向上のための職業訓練システムも構築されなければならない」と述べた。 キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )