CLベスト4激突、バイエルンはバルサの「MSN」を止められるか
レアル・マドリー対ユベントス、バルセロナ対バイエルン・ミュンヘンと優勝経験をもつビッグクラブ同士の激突となったUEFAチャンピオンズリーグの準決勝は、日本時間の6日と7日にファーストレグのキックオフを迎える。ファンの関心は、バルセロナvsバイエルンの“初対決”となるだろう。 ヨーロッパのカップ戦の舞台で、バルセロナとバイエルンが対峙するのは9度目。しかし、バイエルンを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督にとっては、ユース時代から選手として17年間在籍し、指揮官として4シーズンで14ものタイトルを獲得した古巣バルセロナとは初の対戦となる。 スペインの地を去って3年あまり。準決勝の組み合わせが決まった直後、グアルディオラ監督はこんな言葉を残している。 「私にとって特別で、とても感情的な試合になる」 もっとも、状況的には感傷に浸ってもいられない。すでにブンデスリーガで3連覇を決めているが、FWアリエン・ロッベンと後半戦に入って主力に定着したDFホルガー・バトシュトバーがけがで大一番の欠場が決まっている。故障離脱中のFWフランク・リベリーやDFダヴィド・アラバの復帰時期も未定。上あごと鼻骨を骨折して出場が危ぶまれていたエースストライカーのロベルト・レヴァンドフスキは、防護マスクを着用して強行出場することを検討している。 文字通りの野戦病院と化していることに加えて、対するバルセロナがシーズン終盤に入って絶好調をキープしている。原動力になっているのは、名前の頭文字を取って『MSN』と命名されたメッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの南米トリオによるゴールラッシュだ。 今シーズンの公式戦における『MSN』の合計ゴール数は実に「108」に到達。内訳はメッシが51ゴール、スアレスが24ゴール、ネイマールが33ゴール。グアルディオラ監督のもとで完成したポゼッションスタイルはいい意味で省略され、代わりに縦への速さと『MSN』が与える脅威で相手を圧倒し続けている。 果たして、この3人を封じ込めることができるのか。元日本代表MFで、現在は解説者を務める水沼貴史氏は「完璧な対策はないと言わざると得ない」とこう続ける。 「1対1の状況を作らせないなど、さまざまな対策を机上で考えたとしても、この3人は相手が考えもつかないプレーで上回る『個の強さ』をいかんなく発揮してくる。メッシをタイトにマークする選手を一人つける、3人のなかでスペースへ抜け出すプレーを最も得意とするネイマールにあえて足元でボールを受けさせるといった対策が考えられるが、それでも半分近い確率でやられてしまうだろう。パスの出どころを抑えるにしても、パスの受け手が2人までならば何とか対応できるが、3人となるとまず不可能となる。バイエルンがボールをポゼッションで圧倒することが究極の対策となるが、敵地でバルセロナの選手たちを自分たちのゴールから遠いエリアに封じ込め続けるには、一瞬の隙も見せない高度な集中力が必要となる」