東西の神男が炎に立ち向かう!天下の奇祭「鳥羽の火祭り」に密着 愛知・西尾市
ようやく、印を付けておいた松を発見。松の前で2礼、2拍手、1礼を行い、松を切る作業へ。しかし、今度は切るための使用するチェーンソーが動かない事態が。何度かエンジンをかけ続け、やっと動き出したチェーンソー。ゆっくりと慎重に松を伐採し、人力で運び出していく。すずみ等の材料探しは、1か月以上にもおよんだ。
各家庭で育てたススキを毎年奉納
年が明けると、拝殿の横にテントが設置され、倉庫の扉が開かれる。そこに次々とやってくる軽トラが積んでいたのは“すすき”。「すずみ」のほとんどを占めるススキは、1基に約2トン必要。そのため鳥羽町では、各家庭でススキを育て、2縛りずつススキを奉納する決まりがある。祭りの決まりについて、「祭りを楽しむためだからね」と笑顔で話す町民たち。みんなで祭りを楽しむため、多くの人がススキの奉納に貢献している。
深谷さんが自宅で育ているのは、すずみを飾りつけるためのススキ。他のススキと比べて、長さと穂先があることが必要だが、実は育てるのが難しいそう。
「場所を替えたり、肥料を与えたり。水はけが良いとか悪いとか、いろんな場所で育てながら、成長の良い場所を試行錯誤して探して育てています」と、ススキを育てる過程について話す深谷さん。続けて、「(すずみ作りに)大量に必要になるので少しでも足しになれば良い。自主的にやってます」と祭りへの思いを語った。
1200年間、口伝で受け継がれてきた“すずみ作り”
地図を見ながら町内を歩いていたのは、東の神男・野口さん。「顔を見てもらって、今年の神男ですと挨拶をしています。(祭りでは)すずみを作るときの縄を一軒一軒もらうのですが、(今は)その代わりとしてお金をいただいています」と、神男の役目を臨んでいた。大体200~300世帯をまわる神男の挨拶。野口さんは仕事が終わってから一軒一軒、家をまわっていく。
「眞吾さんのとこの孫か、風邪引かないようにね」、「怪我しないようにね」と、野口さんに声をかける町の人々。町の人は、神男に会うのを楽しみにしているのだ。今日は50軒ほど挨拶にまわったという野口さん。「(町の人に)声かけられると励みになります。みなさんのおかげです」と、町に人々へ感謝の思いを滲ませた。