「離婚後夜」ついに最終盤へ。久保田紗友が香帆との意外な共通点、今作への思い明かす
伊織と香帆、真也と香帆の言葉を発していない時間には、思わず息が詰まるような感覚も。そんな登場人物の心象を投影したような映像にも目が留まる本作。「今回は、ほぼ映画しか撮影されたことのない監督お三方が、初の連続ドラマを手がけられていて、私にとっては撮影スタイルも印象的でした。相手の目を意識的に見ながらセリフを発したり、逆に引き画だけで撮影したり…。あえて行間をカットせずに長回しで時間ごとその空間を映像に収めるような感覚もあって、視聴者目線だと“相手がどういう反応をしているのか見たいけど見られない”というような焦らされる感じや、物語のイメージがかき立てられる感覚がこの作品にはあるのかなって思っています」 と。 同時に、回を追うごとに香帆の内面がグラデーションのように変化していくさまを「すごく気弱そうで地味だった香帆が、実は自分の信念を曲げずに、心の中に秘めているものがある強さを徐々に引き出されていくといいますか…香帆は真也と出会ってからの10年の間、ずっと抑え続けていた感情が積み上げられていたと思うんです」と分析。劇中では、執筆を始めながらも、小説に自分自身を投影してしまう香帆が文章を一気に消す描写など、いまあらためてドラマを見返してみると、香帆の過去と決別する“思い”や内に秘めた“強さ”をリアルに感じるシーンも多い。
香帆の印象を「香帆の持っているアンバランス感や違和感みたいなものは、私自身が引きつけられる要素になっていたりもするんです。どんな人にも多面性があるので、役を演じる時に“パズルのピースにはなりたくない”っていう思いは常に持っています。キャラクターを一般的な概念で作り上げるのではなくて、リアリティーのある部分を追求して演じました」と語る彼女自身のターニングポイントには、香帆との共通点があるという。 その共通点を「子どもの頃はすごくシャイで、でも表現をすることに対してひそかに憧れを持っていたんです。学芸会で劇をした時は、本当は自分で演じたいけど、恥ずかしくて前に出られないタイプで…全員の立ち位置やセリフを覚えて、セリフを忘れた子にそっと教えるような子でしたね(笑)。小学生になって“表現をしたい”という夢を初めて母親に打ち明けたことを機に、芸事につながるようなダンスを習わせてもらったんです。あの母に打ち明けた瞬間が、今振り返ると私の原点だったと思います」 と、自身の過去に重ねた。 その後、高校入学を機に生まれ育った北海道から上京。「上京も大きなターニングポイントでした。高校ではこれまでとは全く違った環境になって、いろんな場所から東京に集まってきた人たちもいて。自分がこれまで抱えてきた悩みなんてたいしたことないんだなって思えたり、私と同じ境遇の人もいるんだなっていうことが知れたり。上京したことで強くなれたと思えた部分もありましたが、“私なんか…”って思っちゃう“香帆モード”は自分の中にはずっとあったんです。つい最近になって、ポジティブに考えられるようになったなって思えるようになりました」という一面も明かした。