パリオリンピック卓球混合ダブルスまさかの敗退 張本智和・早田ひなに何が起きたか
早田は、前髪を揺らしながら言った。 「男子選手の威力が思った以上にすごかったので、そこで攻めても倍で返されたり、張本選手のボールを男子にも女子にもカウンターされてしまったり、"北朝鮮の選手の精度はすごいな"と感じました。オリンピックだから負けたというよりも、普通に試合しても負けていたんじゃないかな、と。そこは自分たちが戦術を変えられなかったのが敗因だと思います。どの選手もオリンピックのために仕上げてきているので、そこを越えられなかった悔しさはありますね」 一方、張本は簡潔にこう語った。 「(敗因の)一番は、4ゲーム目を取りきれなかったことにあると思います。1-4で負けたからと言って、すべてが悪いわけではありません。もし4ゲームのデュースの展開で、1点を取りきって逆転できていたら、相手も焦りが出たはずで......」 勝機はあった。彼が言うように、それだけの気運は会場に漂っていた。第4ゲームを取って心理的にイーブンになったら、実力差を出せていたはずだ。だが......風は吹かなかった。それも五輪という舞台装置の気まぐれか。 「ふたりにはミックスをやってわかった雰囲気を生かし、それぞれシングル、団体で爆発してほしいです。悔しい思いを胸に」 田勢監督はそう励ましの言葉を送った。張本・早田のパリオリンピックはまだまだ続くのだ。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki