"大牟田市の味"がするお土産を 地元素材でキャラメルを開発中
まちを”リノベーション”
冨山さんは同市出身。大学卒業後は大手おもちゃ販売店でマネジャーも務め、経営管理などを学びました。地元に戻ってからは、実家の不動産業と飲食業に携わっています。 自社が所有する物件の空きテナント対策として、リノベーションなどを手がけていましたが、10年ほど前から地域の活性化に取り組むようになりました。 炭鉱で栄えた大牟田ですが、閉山後は人口流出に歯止めがかかりません。空き家や空きビルが増えるばかりで、冨山さんは「自社物件のことだけ考えてもだめ。子どもたちが将来、地元で何かを始めたいと思えるようにしなければ」と話します。
14年、空き店舗再生や起業支援などに取り組む会社「大牟田ビンテージのまち」を設立しました。同社は「hara harmony coffee」の運営をはじめ、市や商工会議所などと連携して商店街の再生などにも挑んでいます。 24年1月には元美容室を改修して、飲食店が日替わりで出店したり、間借りしたスペースで雑貨を販売したりできるシェア型の共同店舗を開設しました。
みんなに好かれる商品に
「キャラメルなら子どもから大人まで、みんなに好かれる商品になると思うんです」。路面電車内のカフェで、冨山さんが試作品のキャラメルを勧めてくれました。 試食したのはプレーン味。最初はさっぱりとした味わいですが、すぐに口の中で溶け始め、クリームの濃厚さが一瞬で広がりました。プレーン味のほかにも、4種の味を加える予定で、市内の青果店などから仕入れたミカン、抹茶、ナッツや、カフェ自慢のコーヒー味をそろえる考えです。 商品名は、地元の特産品、商店や企業などとコラボして、多彩な魅力を届けられるようにと「&(アンド)キャラメル」と付けました。
9月15日からCFサイト「CAMPFIRE」で支援を募ったところ、10月23日までに約180人から100万円近くが集まりました。CFは27日までで、集まった資金は商品のパッケージデザインや食品の成分検査費用などに充てるそうです。 現在は完成品の食感を最終調整している段階で、CFの返礼品発送が終わる12月以降の一般販売を目指します。 冨山さんは「お土産として誰かに渡した際、このキャラメルを通じて、大牟田のことを感じてもらえたらうれしい」と期待しています。
読売新聞