スコットランド独立問題 沖縄に波及はあり得る? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
欧州各地に影響広がる
なおスコットランド独立問題は、似たような歴史を持つ欧州各地へと影響を広げています。スペインのカタルーニャ州(州都はサッカーで有名なバルセロナ)はスペイン継承戦争に1714年に敗れて自治権を喪失、その後ある程度復活したもののスペイン内戦(ピカソの「ゲルニカ」の着想ともされる)に端を発したフランコ独裁体制で再び弾圧され、今でも独立のための住民投票を目指しています。同じくバスク自治州も民族が異なりながらフランコ独裁で弾圧を受け、独立の声が後を絶ちません。サッカー男子日本代表のアギーレ監督はバスク人をルーツとしています。 何かとまとまらないのが国風ともいえるイタリアでは工業が発展し比較的豊かな北部が「南部は怠慢だ」という感情的いきさつもあって90年代に「北部同盟」という地域政党を創設。相当な勢力があり、連邦制など自治権の拡大などを訴えています。もっとも主張の幅が大きく(やはりまとまらない)変幻自在のベルルスコーニ元首相あたりに翻弄される場面も。 ベルギーはフランス領から脱してオランダと連合王国を組んだ後に19世紀、独立しました。オランダ語圏の北部とフランス語圏の南部が連邦し、裕福な北部に不満が強く約1年半も正式に首相が決まらないという空白期を作ってしまいました。ちょうど2010年債務危機で欧州に激震が走り、ベルギーを含むユーロ圏が必死になって防衛策を講じている中、「みな大変なのにベルギーは何やっているんだ」と批判され、王様まで事実上関与する形で2011年にやっと現首相が選ばれています。
--------------------------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】