ヤバすぎる経済危機に「気付かない」日本人…1人当たりGDPでわかる「衰退国家の惨状」
いまの日本経済は「1970年ごろと同じ」
日本の1人当たりGDPは1990年代以降、ほとんど増えていない。その半面で、多くの国は成長を続けている。特に、米国、韓国は急成長を続けている。 このため、日本と米国との差が開いている。そして、韓国が1人当たりGDPで日本に急迫している(IMF〈国際通貨基金〉のデータではすでに日本より高い値になっている)。 ところで、図に示されている日本のグラフは、1995年ごろを軸にして、ほぼ左右対称になっている。つまりいまの日本は、1970年代に先進国入りし、その後さらに豊かになっていたときの歴史を逆にたどっていることになる。 現在とちょうど対称の位置にあったのが、1960年代末から1970年代初めにかけての時期だ。いまの日本の1人当たりGDPは、OECD平均とほぼ同じ。これは、1970年ごろと同じ状況である。米国の1人当たりGDPは日本の約2.4倍。この比率も1971年とほぼ同じだ。 1995年を軸とする左右対称の姿が続いていくとすると、日本の線は、OECDの平均値を下回っていくことになり、2030年ごろには、OECD平均の半分程度の水準になってしまうだろう。つまり、日本は到底「先進国」とは言えない状態になってしまう。
日本が「韓国・台湾に抜かれる」のは時間の問題?
これに対して、韓国の指数は、このグラフのほぼ全期間を通じて上昇を続けている。 韓国の1人当たりGDPは、1960年代にはOECD平均の10%未満にすぎなかったが、1994年に50%を超えた。1998年にはアジア通貨危機で38%に落ち込み、2008、2009年にはリーマンショックの影響で再び落ち込んだ。しかし、こうしたショックの影響は短期的なものにとどまり、いま韓国はOECD平均に迫っている。 なおこの図には示していないが、台湾もほぼ同様の傾向だ。この状況が続けば、日本と韓国・台湾の位置が逆転し、差が開いていくだろう。
日本とは真逆…米国が「V字回復」できたワケ
今回の米大統領選で、トランプ氏は「米国を再び偉大な国に」と訴えた。しかしここで示した図を見る限り、米国はすでに偉大な国になっている。1人当たりGDPで見る限り、米国はOECD平均の2倍ほど豊かな国だ。しかも、その値が傾向的に上昇している。 米国の復活は、すでに1990年代から始まっている傾向的な現象だ。 第二次大戦後、圧倒的な経済力を持っていた米国はヨーロッパ諸国よりはるかに豊かな国であったが、その後停滞に転じた。これは図の左側半分で米国を示す線が長期的に低下していることによって示されている。 しかしこのような傾向は1990年代から反転し、米国の線は上昇に転じている。そしていまに至るまでこの傾向が続いている。 こうした変化をもたらしたものは、IT革命だ。つまり、米国が情報通信の分野で、新しい技術の開発と新しいビジネスモデルの確立に成功したからだ。それまでの大型コンピューターによる情報処理からPCとインターネットを通じる分散型の情報処理システムへの移行に成功し、GAFAと呼ばれる企業群をはじめとして、多くの新しい企業が登場した。