「わかったつもり」の勘違いが落とし穴につながる 過去の事例に学ぶ思い通りに仕事を進める方法
「言葉にせずとも相手の考えていることはわかっている」──そう思っていても、実際には相手のことを100%理解するのは至難の業。「わかったつもり」になっていると、いつか足元をすくわれるかもしれません。本稿では、ソフトバンクでマーケターとして活躍し、新著『仕事は1枚の表にまとめなさい。』を上梓した池田昌人氏が、過去に「わかったつもり」を改めることになった出来事を紹介します。 ■実は予想以上にわかっていない、仕事相手のこと
自分の思い通りに仕事を進めるために期待値と並んで重要なのが、「相手を知る」ということです。ここでいう相手とは、上司はもちろん、同僚やチームメンバー、取引先など、仕事で関わる様々な人のことです。 あなたは周囲の人のことをどれだけ知っていますか? 実は多くの人が、仕事で関わる相手のことを「ほとんど知らない」ままなのではないでしょうか。 私は、企業や自治体でまる1日の研修をさせていただく際には、いつも「1時間」をかけて自己紹介をしています。仕事に関することだけでなく、子どもの頃から学生時代の話、趣味の遍歴など、「私」というものを包み隠さずお話ししています。
ところが、散々私の情報をお伝えした後でも、「あなたが仮に私の部下だとして、5W1Hのうち、私が一番気にするポイントはどれだと思いますか?」と聞いても、誰もピンときません。 どれだけ自分のことを語っても、何を考え、何を重視して、どう判断するかはほとんど伝わらない。1時間という長時間の自己紹介は、「人というのは、これほどわかり合えないものなのだ」ということを理解してもらうための時間だったのです。 期待値を考える上では、相手がどんな人なのかを知ることが不可欠です。それなのに、どんなに相手の情報を得たとしても、どんな人かを完全に理解することはできない。
相手のことをわかったつもりになっていると、足元をすくわれる。これは、仕事をする上で絶対に忘れてはいけない前提です。そのことを私が痛感した出来事がありました。 ■認識を改めるきっかけになった「新料金プランの提案」 東日本大震災の復興支援の一環で、ソフトバンクが行った取り組みの1つに「チャリティホワイト」というオプションプランがあります。月額利用料にプラス10円の寄付をいただき、ソフトバンクも10円を加えた計20円を被災地の子どもに毎月寄付する、というものです。