タンス預金として「100万円」が手元にありますが、銀行の金利が「20倍」になったと聞いたので、銀行に預けようと思います。全額を“普通預金”に入れるのはやめるべきでしょうか?
2024年3月に、長い間日本の金融政策として採用されてきたマイナス金利政策が解除されました。その結果、普通預金金利を20倍に上げた銀行も登場し、喜んだ人も多いのではないでしょうか。 タンス預金を持っている場合、金利が上がった今こそ普通預金に全額を預けるべきでしょうか。実は、金利が上がったからといって、全額を銀行に預けるのはおすすめできない理由があります。 本記事ではマイナス金利政策解除と預金金利上昇の概要や、タンス預金を全額預金に入れないほうが良い理由を解説します。 ▼タンス預金していた現金を銀行に預ける場合、「税金」の支払いは発生するの?
日本銀行のマイナス金利解除後に普通預金の金利が約20倍に
2024年3月19日の金融政策決定会合で、長らく日本で採用されてきたマイナス金利政策の解除が決定されました。 マイナス金利政策が解除されたため、それまでマイナス0.1%だった政策金利は0.1%に引き上げられました。金利が上がったことで、私たちの日常生活に与える影響として代表的なものが、「普通預金や定期預金の金利上昇」でしょう。 実際、マイナス金利の解除を受けて大手都市銀行(メガバンク)や、一部の銀行では普通預金の金利を年0.001%から0.02%へ20倍まで引き上げました。 ■タンス預金から普通預金に切り替えることで利息を得られる恩恵が大きくなった 今回のマイナス金利政策の解除に伴う預金金利の上昇によって、タンス預金をしている人がそのままタンス預金を続けるメリットが小さくなったことは間違いないでしょう。 タンス預金をどれだけ持っていても利子を得ることはできず、盗難や紛失、火災による消失(焼失)などのリスクが付きまといます。一方で、銀行の普通預金に預ければ、それだけで従来銀行に預けていたときに受け取っていた20倍の利子を得られます。 ただし、いくら金利上昇をしたからといっても、タンス預金の全額を全て預金に入れるのはおすすめしません。
20倍の金利がついても物価の上昇には追いついていない
タンス預金の100万円を普通預金に預けるケースで考えた場合、マイナス金利政策解除前の0.001%では1年預けて税金を考慮しなくても10円の利息しか付きません。一方、20倍に引き上げられて金利が0.02%になった現在では、同じ条件で200円の利息を得ることができます。 20倍の利息は魅力的に感じるかもしれませんが、物価は預金の金利ではカバーできないほど、実は大きく上昇しています。 総務省の「2020年基準消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)8月分」によると、消費者物価指数(CPI)の総合指数は2020年を100として109.1です。つまり、たった3~4年で総合的な物価が9%も上がってしまったことになります。 また、前年同月比の物価上昇率は3.0%で、普通預金の利息0.02%はもちろん、定期預金の金利も大きく上回っています。つまり、いくら金利が20倍に上がったとはいえ、全額を普通預金に預けても資産が目減りしてしまう可能性が高いのです。