ギザギザの刃で楽々除草。十代続く鍛冶屋が生んだ伝統と革新の草刈り鎌
田舎と街の二拠点生活をしているライターのGOLです。耕作放棄地を再生し、田舎暮らしのトライ&エラーを楽しんでいます。 【アイテム画像を詳しく見る】 盛夏の毎日、皆さまいかがお過ごしでしょうか。日中はあまりに暑いので朝5時には起きて畑仕事をしています。逆に早朝しか活動できませんね、この暑さでは。しかし、雑草たちはこの暑さにも負けることなくグングンと成長しています。雑草との戦いはしばらく続きそうです。今回はそんな雑草を根こそぎ駆逐するユニークな鎌を紹介します。 熊谷鍛冶屋「草取カギカマ ロング柄タイプ」(実勢価格:2980円)です。
■刃の形状がポイント
岩手県の港町「大船渡」で十代続く鍛冶屋を営む熊谷鉄工。元々はアワビを採取する際に使用する鉤(カギ)を製造していたそうですが、現在は鉤に限らずさまざまな漁具や、漁具の製法を利用して作られた丈夫で長持ちする園芸用品も製造しています。 一般的な刃物としての鎌は、片手で雑草を逆手に握り、鎌を持った手で草の根元を刈り取る感じで使います。最初は普通の鎌のように使っていて要領を得ませんでしたが、暑さの中イライラして鎌を地面に突き刺したところ、片手で簡単に雑草が抜ぬけました。 このカギカマの使い方は普通の鎌と全然違います。雑草の根元付近の土に横方向斜め45度くらいで鎌を突き刺します。雑草のサイズにもよりますが、鎌の曲がりの部分まで突き刺せるようであれば、できるだけ深く差し込みます。そして、手前上方に向かってすくいあげるように鎌を引くと、鎌が土中の根を切り雑草を地面から引きはがせます。 刃は先に向かって細くなり、先端部は鋭く尖っています。この鋭い先端が土によく刺さり、深く根を張った雑草を捕えます。刃の全長は約9cm。先端から小さな山谷が3個一組にあり、それらが4組配置されたギザギザの刃が、根を擦り切るように切断します。 一般的な鎌に比べ、かなり軽いのが特徴。ロング柄タイプであってもわずか130g。刃物としての鎌に比べて鉄製の部分が小さいので軽量です。このカギカマは、刃物で切るというより、アワビや牡蠣を採るように雑草を地面から根こそぎ抜き取るように使います。さすが、漁具を作る鍛冶屋の鎌といった感じです。 木製のハンドル柄は約19cm。エンドから約6cmの部分が絞られており握りやすくなっています。柄が長い方が引くときの力が入りやすいですね。刃を突き刺す時も降り下ろしやすく、少ない力で作業ができます。草刈りはショートストロークでの繰り返しの作業になるので、少しでも楽な姿勢と力でできることが肝要です。 草を刈るのではなく根を掘り返すので、地面がぼこぼこになります。芝生のような美観性を重視する場所では、その後の手入れが必要になります。適した環境としては、畑がベスト。除草した後、レーキなどで地面を均す手間が発生します。 雑草は草の部分だけを切ってもまたすぐに生えてきます。根を切ることが重要です。もちろん、それでも雑草は生えてきます。彼らの生命力の強さは誠にたくましく、人間の意志など全く慮ることなどない存在です。それを取り除く終わりのない戦い、それが草刈りです。しかし、それでも畑を庭を整え活用していく上では、欠かせない仕事のひとつ。この酷暑の中、効率的にそして確実に草を刈るこのカマカギは、オススメしたいアイテムです。
<取材・文/GOL>